車椅子検証シリーズ「車椅子は語るG」
致命傷車椅子ファイル
【キャスター支柱の固着、ガタつき】
◎このシリーズは、作者の経験と思い込みで構成しています。予め、ご了承下さい。
車椅子の点検・整備を長いこと行っていると時々、「なんちゅう壊れ方すんじゃ?!」と
驚いてしまうことがあります。
逆にそこを調べると、商品の欠陥や使われ方の特色などが見えてくるのも事実です。
まさに、「壊れた車椅子が語りかけてくる」がごとくです。
最近、勤務施設の10年以上経過した車椅子が限界になりつつあります。
さすがに、年度こどに予算を組んでもらって少しずつ新車に交換しています。
今回の車椅子はキャスターを支持している支柱がダメになったという話です。
↑キャスターを支持している部分。
ここの頭に大きなネジを被っている車椅子があります。
相当古いタイプなので、さすがに最近では見かけることが少なくなってきました。
このタイプのキャスターが首をふらなくなったり、ガタガタしはじめることがあります。
原因は、
過去にも特集しましたがベアリングの汚れやサビによる固着、
無理に頭のネジを締め付けたことによる固着などがあります。
このガタついたり、固着傾向の状態で無理やり使っていると・・・
以下のような壊れ方をしてしまいます。
↑ベアリングカバーの内縁が削れた状態。
↑ネジそのものが削れてしまった状態。
こうなると隙間が空きすぎて、ガタつきを押さえることはできなくなります。
交換部品が手に入らなければ「廃車」になるだけなのです。
↑ココの頭のネジを締める場合は、単純に締め付けてはいけません。
(※この画像はうちのスタッフが実際にやっていた悪い例)
↑このように、ネジの下にあるギザギザのキャップ部分を固定して、
ネジを締めこむ必要があります。
微妙な隙間を残しておかないとスムーズな回転(方向転換)ができないのです。
(この微妙な隙間があるせいで汚れも入ってくるわけですが・・・)
・・・というわけで、この車椅子は廃車となりました。
通常の耐用年数(5年)の倍以上も働いてくれたので十二分に持った方です。
もし、似たようなタイプをまだ使っている方がいましたら、
分解後の締め付け過ぎには十分気をつけてください。( ̄▽ ̄;ゞ
さすがにもう無かったりして
↑最近の車椅子にも「ネジ頭」のあるタイプが残っていました。(画像左)
※・・・ですが、M社製のこのタイプは別の目的に使うものでした。
このキャスターの特長については、別の回に特集を組みたいと思います。
:現在の殆どの車椅子は「ネジ頭」が無いタイプが主流です。(画像右)
「ネジ頭」の無いタイプは、そのまま抜け落ちる
脱落現象も多いようです。
きちんと固定するには
専用工具が必要になることがあります。
(介護型リハビリシステム研究所)