車椅子とオゾン
<施設内車椅子タイヤが傷むわけ>
このコラムでは、管理人が勝手気ままに感じたことを書き込んでいます。
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数回にわたり「空気圧」についての話をしてきましたが、
要は、「
車椅子のタイヤにはシッカリ空気が入っていないと大変危険」ということです。
中途半端な空気圧は
@ブレーキの効きを悪くして、移乗時に車椅子が動き出し転倒をひきおこす。
Aブレーキをかけたままでも動くため、車椅子用の柔かい白(灰色)タイヤ表面を削り、
ますますブレーキが効かなくなるという悪循環をひきおこす。
B転がり抵抗が増して、車椅子の操作が大変になる。(疲れたり関節を痛める原因になる)
・・・・などの様々な問題を引き起こします。
↑ブレーキをかけた状態で動かしたために、無残に表面が削れた車椅子タイヤ。
ゴムの下にあるメッシュ部分まで見えてきています。
車椅子のタイヤはもともと耐久性がありません。理由は
以前も紹介しました。
ただ、個人的に車椅子の黒タイヤでピータイルに跡がついた経験はありません。
現場で、リネン類を沢山積んだ台車や、ベッドのキャスター引きずり跡は見かけても、
車椅子の跡というのは見たことがないのです。車椅子があらぬ疑いをかけられた
可能性が高いと以前から感じています。
機会があったら黒タイヤを履いた車椅子で床に跡が残るか試してみてください。
ここで、再度確認したいのは「
白タイヤは弱い」という事実です。
上の写真のような車椅子を使い続けていくと・・・
↑このように、ゴムの奥にあるメッシュまでちぎれ、その奥の黒チューブが盛り上がります。
タイヤ内の空気が弱い部分へ逃げようと膨らむわけです。徐々に全体的に歪んでいきます。
↑更にその変化を追っていくと・・・このようになってきました。かなり危険な状態です。
これを、この状態のまま使い続けると、ある日突然「
パン!!」と破裂してパンクします。
(※画像は部品用として保管してある車椅子の変化を観察したものです。)
↑
以前にも紹介しましたが、コブ状になったあとは、このように突然破裂するのです。
・・・・・今までは、どちらかというと「白タイヤ」の弱さばかりを強調してきましたが、
もう一つ忘れてはならないのが、病院や施設特有の「オゾン」です。
「
その他の環境整備」の「
杖先ゴムの劣化」でも紹介しましたが、
消臭・脱臭・除菌を行う目的で使っている「空気清浄機」・・・これが発生させる「オゾン」が
ただでさえ弱い車椅子ゴムの劣化を早めている・・・可能性があります。
特に「引っ張り状態にあるとオゾン劣化による亀裂が入りやすい」そうです。
引っ張り状態というのは車椅子でいうと、膨らむ方向・・・
そのオゾン劣化の影響であろう、車椅子タイヤの亀裂映像をとらえることができました!
↑これがそうです。よく気をつけて観察すると古い車椅子にはこのような亀裂があります。
この裂け目が広がると最終的には・・・
↑こうなってしまう(タイヤが裂けてチューブが破裂する)と言うわけです。
こうなると、チューブまで交換が必要となるので、その前にタイヤを交換しなくてはいけません。
車椅子の取り扱い説明書には以下のように書かれています(抜粋)。
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タイヤには、ひび割れを防ぐために老化防止剤が配合されていますので、
次のような環境はさけてください。タイヤの劣化を促進させ、ひひ割れの発生原因となります。
●オゾン(O3)
●日光、熱・伸張等の機械的作用・・・・
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「オゾンを使った空気清浄機」のある病院・施設内では車椅子を使ってはいけません。
・・・と何となく読み取れるのですが・・・気のせいでしょうか???
それとも、
病院・施設は「オゾンを使った機械」を使うのをやめなさい。
・・・と言っているのでしょうか???
結論としては・・・
高圧のかかる空気式の車椅子タイヤは、
「オゾンに強く、磨り減りにくいタイヤ」
でないと現場としては大変困ります。
毎回も言っていますが、メーカーは説明書でさらっと逃げないでほしいと思います。
※オゾンはコピー機によっても発生します。コピー機のあるフロアも要注意です。
(介護型リハビリシステム研究所)