その他の環境整備【63】

     杖先ゴムの劣化
              ゴム製品の怪奇現象?!


今回は、杖の先についてるゴム・・・「杖先ゴム」についての話です

杖というのは車椅子と同じくらい、必要な方にとっては常日頃から使う道具です。


あまりに身近すぎて、いつもは目の届かない杖の先を気にすることもありません。
ですが、「ゴム」であることは、車椅子の「虫ゴム」同様、「消耗品」なのです。
しかもよく歩く方(特に屋外)が使うと消耗が激しくなります。
そしてある日、濡れたタイルや床の上で杖が滑り、『転倒⇒骨折となってしまいます。
骨折後入院して肺炎にでもなると、そのまま亡くなってしまうことも十分ありえるのです。

そのため、病院や施設の気の利く専門家は杖の裏を必ずチェックしています。 (;^_^A




↑片減りした上に、ツルツルの杖先ゴム。このままだと大変危険です。
斜めに杖をつく癖のある方は、このように斜めに磨り減っていきます(片減り状態)。


・・・と、ここまでは通常の劣化・消耗状態ですが、当施設では奇妙な(?)現象が
よく発見されています。

それは・・・このようなものです。↓




↑このように縦に「ビシビシ」とヒビが入っているんです。恐いですねー。
この状態で杖を使っているとある日「スポン」と外れてしまいます。
外れるといきなりグリップ力を失ってしまいますから「転倒」してしまいます。


・・・でも、どうしてこんなヒビが入るのでしょう??? σ(・_・?

原因は、長いこと不明だったのですが、最近ようやく犯人を突き止めました。。







↑おそらく真犯人はこの空気清浄機。屋内に何基も備わっています。


この空気清浄機は、オゾン(O
3)を発生させて、消臭・脱臭・除菌を行うという優れもの
らしいです。機械の下にいくと独特のオゾン臭がします。

このオゾンがゴム製品を傷めるそうなのです。
特に
「引っ張り状態にあるとオゾン劣化による亀裂が入りやすい」そうです。

このオゾン劣化による亀裂・裂け目から故障した車椅子も過去にたくさんあります。




キャスターゴムの亀裂




大車輪の亀裂

施設内の虫ゴムが劣化しやすいのもオゾンの影響を受けているのかも知れません。
(・・・もし、そうならオゾンを故意に発生している施設内では、虫ゴムの交換をかなり
神経質に行わなくてはならないことになります。)


話を杖先ゴムの劣化に戻しますが・・・

杖先ゴムの劣化を防ぐためなのかどうかは知りませんが、ゴム全体を皮膜で
コーティングしてあるような杖先ゴム(表面が光っているタイプ)を時々見かけます。

このような杖先ゴムに交換してそのまま使うと、タイルなどのツルツルした床では
グリップせずに濡れていなくても急に滑ることもあるのです。
この症状は大変危険です。新品に換えたとたん転倒では話になりません。

そのためそのような杖先ゴムは「表面を一皮剥く」作業が必要となります。




↑粗めの紙やすりをつかって軽く削るとグリップ力が出てきて安心して使えます。
紙やすりがない場合は、コンクリートなどに軽くこすり付けても削ることができます。


施設内で使わない杖はビニールなどで覆っていると劣化を防げるかと思います。
(しばらく使う予定がなければ、杖先ゴムを外してしまっておくのが理想的でしょう。)




                            (介護型リハビリシステム研究所)