車いす劣化事故を防ぐ総合システム

          〜 備品管理にも短期長期のケアプランを 〜


 当施設は開設19年目を迎え、建物と備品劣化が進んでいる。特に車いす劣化は利用者の安全に関わるため、
 日頃からの管理が大切である。100台を超える車いす整備と新車入替を行う「総合管理システム」を紹介したい。


【はじめに】
 
 介護保険が始まって今年で14年目、全国介護老人保健施設大会は24回目を迎えた。
当施設も開設して19年目を迎えている。
早くから立ち上げた施設は、どこも老朽化した建物と設備の修繕や工事に追われているだろうし、当施設に於いても例外
ではない。
 「老朽化/劣化」は最初ゆるやかであっても、ある程度の年月が経つと急激に進み、時には業務に支障をきたすこともある。
それが施設職員の犠牲だけならまだしも、利用者にまで危害が及べば大変な問題になってしまう。
 「劣化」を見て見ぬふりをしていると、ツケが溜まって結果的に大きな負担や責任を負うことになりかねない。一方、超
高齢化と社会構造などから、施設利用者の重度化・高齢化は進み、離床や移動の手段として「車いす」のニーズは高まる
ばかりである。使用頻度も施設備品の中でトップクラスなのだが、あまりに身近すぎて「劣化」には気がつかない。
 「車いす」使用時の事故も、ケアそのものに目が行き、車いす本体の「劣化」が原因とは誰も指摘しない。その車いすが「何
時から、どの位使われて、どの位傷んでいるか」知り得ない環境なら仕方ないのかも知れない。
 そのため、劣化による事故を未然に防ぐために、「車いすの管理」と「利用者の安全」に主眼を置いたシステムを開発して、
導入してきたのでこの場で紹介したい。

【方法】
 
 当施設では入所と通所を合わせて、100台を超える車いすを保有して使用している。
 それらの車いすに各々ナンバーをつけ、1 台ずつ整備帳をつくり、表計算ソフトで管理システムを組み上げて、購入と処
分、配置状況などの全体管理を行えるようにした。

<10年が節目>
 長年の整備実績から、フレーム割れや、ブレーキ不具合、フットレスト脱落など、事故に直結しそうな故障は、いずれも
10年を超えると極端に頻度が高くなることがわかってきた。
 老朽した車いすを無理やり与え続けることは、利用者や運用側にとって非常にリスクの高いことであり、どこかで「時期」
を見極めて「処分」の判断をする必要があった。
 また購入手段によっては、修理費用より安くつくという現実があり、費用対効果の面からも「処分と購入の周期」を判断
できるシステムが必要であった。

<処分と購入の周期>
 一気に複数台の処分・購入となると施設としても負担が大きい。そのため表計算ソフトを組み上げて見やすくグラフ化す
るなどデータ管理していくと、月に1 台の割合で計画的に少しずつ購入して処分することが最適ということに結論づいた。
 「誰が」「何処で」「何年式の」「何タイプの」車いすを使っているかは、常にシステムで把握しているため、処分対象もす
ぐに拾い上げることができる。

<購入先と現場手配>
 インターネットショップで製品を選択して申込み、メーカーから直接配送してもらうことで、良い製品を定価の1 / 3 程
度で購入でき、コスト削減につなげている。
 配送された後は、担当者がきちんと整備してナンバーリングし、パソコンにデータ入力して、必要な現場に届けるシステ
ムにしている。

<可能な部品は再利用>
 処分対象でも、安全に使えると判断した部品については、修理パーツとして他の車いすに再利用できるように分解して保
管している。これら中古パーツの流用で修理費用が浮いた分、毎月の新車購入に充てることができている。

【結果】

 計画的管理で開設当初から残っていた、15年越えの危険な車いすを全て処分することができた。
本来、車いす耐用年数は6 年であるが、施設の備品として毎日ハードに使い続けているものは全体のダメージが大きく限
界も早い。
 もし計画的な入替えがなければ、ただ単に「動くから」という理由だけで、今でも19年以上経過した危険な車いすを平気
で利用者に与えていたと思われる。残念ながらまだ10〜15年の車いすは健在であるが、なるべく最大10年以内のサイクル
で「安全で快適な車いす」を提供できるようにしたいと考えている。
 月に一度の購入ペースについては、今現在現場が必要としているサイズやタイプなど、速やかに臨機応変に対応できる点
でも、都合が良く好評である。

【まとめ】
 
 常にオーバーワーク状態である施設の車いすは、誰かが主導でシステムを組んで管理していかないと、「事故の温床」と
なりやすい。
 同時に「劣化」対策については、車いす以外についても日頃の点検を含めて、周期的に抜け目ないよう総合管理していく
ことも重要である。

 「形があるものは、いずれ劣化して壊れていく。」

 経年劣化というものは避けては通れず、正しく向かい合って対策を立てなければならない。「劣化対策」という短期と長
期のケアプランは、施設が「健全で長生き」するために必要不可欠と考えている。



●ホームページ:介護型リハビリシステム研究所 ●アドレス:red.zero.jp/ksystem



               『介護型リハビリシステム研究所』  red.zero.jp/ksystem






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