「キャスター」整備法・パート18
〜 キャスター・セッティング 〜
キャスター支柱の頭にボルトがつくタイプの車椅子は結構旧式であることが多いです。(
前回参照)
↑そのため上のネジを無理やり締め付けると、キャスターが方向を変えないという
状況に陥ります。隙間を微妙に開けて調整して締め付けるという作業が必要です。
もう、このタイプのネジ頭をした車椅子は無くなっただろうと思っていたら・・・
?!
見つけました!
なんと、うちの施設の旗艦ともいえる比較的最新のM社製車椅子についていたのです。
↑肘掛け持ち上げ式、背折れ、介護ブレーキ、スイングアウトなどフル装備。
↑でも、他の車椅子とキャスター頭を並べると明らかに違います。ネジがモロ出ています。
↑アップするとこんな感じです。一見、旧タイプと何ら変わらないように思えます。
・・・でも、何だか旧式のに比べると様子が違うような???
↑分解してみましょう。下を手で押さえないと、ネジが空回りしてしまいます。
↑分解するとこのようになります。上にはベアリングは存在しません。
これだけでも旧式とは基本的に構造が違うことがわかります。
ネジを締め付ける時に、微妙な隙間を作る必要はなさそうです。
ここで、問題です。 (b^ー゜)
下のキャスター、右と左でどこが違うでしょう??
↑画像が荒くて見え辛いとは思いますが、高さに変化があるのが分かりますでしょうか?
このネジの構造はブロック式になっていて、様々な組み合わせが可能なのです。
↑大小のブロック(スペーサー)が2個ありますので、
@上2個、A下2個、B上大・下小、B上小・下大、の4パターンに変化可能です。
・・・と、このような調整が可能になっているという、意外な優れものキャスターでした。
しかも、このキャスターはネジで上から固定することで、
危険な脱落がなくなります。
M社製のこのキャスター。「キャスターブロック」という名前だそうです。
前座高の大まかな設定をするための仕組みなのです。
取り扱い説明書に載っているかな〜??と思って、隅々読み返しましたが・・・
どこにも見かけませんでした。 (-_-;)
案の定というか・・・やっぱりというか・・・何のための説明書なのか・・・
これは・・・知っていないと、ただの「宝の持ち腐れ」になります。
説明書に取り上げないものなら、その機能をナシにしてもっと安価にするとか、
紙切れ1枚でも挟んで、機能を紹介してもらえると現場としては助かります。
・・・仕方ないので、メーカーの代わりに宣伝しましょう。
ネジ頭のついたキャスターは
高さが調整できるのがあるんですよ〜!!
キャスターを持ち上げる(前座高を上げる)ことで、ティルト(座位ごと後ろに傾ける)気味に
なり比較的安定した座位をとることができます。
殿部にかかる圧力の一部を背中に分散する事も可能です(角度や体型などで差異がでます)。
※そのうちに「実際に現場で行ってみた」という特集を組む予定でいます。多少の問題も・・・?
(介護型リハビリシステム研究所)