その他の環境整備【40】

    麻痺手の落下防止

車椅子の環境整備として、「車椅子整備」として特集しようかとも思いましたが・・・
既に「フットボックス」とか「スーパーバルブ」とか、「車椅子ガイドレール」までも、
ここの「その他の環境整備」で紹介してしまっているので、ここで紹介します。
      ( いずれ機会をみて車椅子整備の方に移動するかも知れません。(;^_^A  )
脳卒中などで上肢に麻痺がある場合、時に車椅子からその麻痺手がズリ落ちて
車椅子のタイヤで手を傷めたりすることがあります。
麻痺した手は感覚障害などがあると、重大なケガにつながることもあるのです。
ずいぶん以前に介護職から相談を受けて対処方法を提案し、上手くいった方法を
紹介したいと思います。
(介護職が第12回介護老人保健施設東京大会で発表済・19-3-3)


通常、上記のような麻痺手のズリ落ち防止には、三角巾やアームスリングで手を吊ったり、
車椅子にテーブルを置いたり、クッションを置いて麻痺手を乗せておく・・・など、様々なことを
行って対処していると思います。

車椅子に乗せている姿勢を改善しても、トイレやベッドへの移乗時には麻痺手が疎かになる
場合もありますし、臥位では三角巾・アームスリングも緩んで役に立たないこともあります。

そこで・・・介護職にお願いして製作してもらったものが以下の「麻痺用ベスト」です。

        じゃ〜ん!!

        

↑一目瞭然ですが、トレーナーの袖をカットして方袖を腹部に縫い付けてあります。
切り口はほどけたり緩んだりしないよう、きちんと折って縫い合わせた方が綺麗で長持ちします。


6年前に製作して既に発表していますので、似たようなものは各施設でも既に実行されている
かも知れません。こうしたアイディア系がもっと大会で多く発表されるといいんですけどねぇ〜。
この時は近場で大会があったので無理やり介護職員に発表して貰いました。

この麻痺ベストの利点は・・・・
@見た目が良い。
A触り心地が良い。
B簡単に製作できる。
C簡単に洗濯できる。
D保温性に優れている。
E手首にゴムがある為、脱落を防げる。
F安全に介護ができる(事故防止につながる)。
                             ・・・などです。



従来の三角巾だと、妙に痛々しいですしねぇ。。これは利用者や職員にかなり好評でした。
取り付け角度が肘部分が高いのにも理由があります。
この場合は30度の角度をつけるように指示して製作してもらいました。
ここを高めにしておかないと、肩が下がって肘も抜けやすくなるからです。
手首部分からは手を出しても良いですし、出さずにしまっておくこともできます。





                                    (介護型リハビリシステム研究所)