その他の環境整備【32】

   施設外周ガイドレール

施設の外周には「犬走り」と呼ばれるコンクリートがはられていることが多いです。
今回は、ここに設置したガイドレールについて紹介したいと思います。
大したことはないと言われればそれまでですが、数年の構想と資材・工程に至る
まで、様々なアイディアを必要としました。

      


職場の老健施設には屋外の散歩コースがありません。
屋外には、桜の木があったり、つつじがあったり四季折々と楽しめると思うのですが
車椅子が走行できるようになっていないのです。
いわゆる「犬走り」と呼ばれる、建物沿いにコンクリートをはった部分があるだけです。

単純に考えて、ここを走行すればよいのですが、実は雨が流れるように微妙な傾斜が
ついていて車椅子や歩行車・シルバーカーが直進してくれません。
本人も操作が大変ですが、落っこちないように手を貸す介助者も意外に大変なんです。

そのため、これら車輪がついた自助具の脱輪防止にガイドレールを製作することにしました。




↑材料はコスト面・加工のし易さから防腐処理がしてある木材にしました。
このように切り分けます(ホームセンターだと注文したサイズにカットしてくれます)。




↑そしてこのように組み合わせ、ボンド(全天候用)で貼り付けます。
これで1つのジョイントになります。
左の片側だけが半分出っ張っているのには理由があります。
何本も作って組み合わせていく時に強度を高めるのと、コストを抑える目的です。




↑このように組み合わせ、コンクリートボンドで貼り付けます。
隙間を設けたのは雨水が上手く流れるように・・・です。強度も実験済みです。




↑コーナーはやや傾斜がきつい為、角にスノコ状に板をひきました。




↑雨水の排水パイプを車椅子で傷つけないように、プチプチの緩衝剤でくるんでそこを
大きめの排水パイプを2つに切ったので覆い、針金で固定しました。




↑・・・以上で完成です。
この企画の立ち上げから、スタッフに細かく指示して少しずつ作ってもらいましたが、
屋外なので蚊に刺されたりしてなかなか大変そうでした。
屋外なのでコンクリートが乾燥していないとボンドでの固定も上手くいきません。


この環境整備は小さなプロジェクトでしたが、企画書⇒工事計画⇒予算化・・・など色々と
根回しにも時間がかかりました。なんと構想から完成まで3年近くかかったんです!
「シンプルで、丈夫で、安価で、加工しやすくて、工事も簡単で、見た目も良い」という
難題をクリアするには、あれこれと材料を吟味したり、工程を考えたり大変でした。。。
外気浴・散歩としての通路以外にも、安全に非難する経路としても意義は大きいでしょう。
この
ガイドレール工法は、おそらく他の場所(スロープなど)でも応用がきくと思います。
細かい目的・工程・成果は施工スタッフが神奈川の第16回老健全国大会で発表します。
良かったら是非、見に来て下さい。 
8月31日午後2:00〜3:00 Q会場です。


※先日、チェンソーで剪定にきていた業者に何箇所が木材部分を切断されてしまいました。
直ぐに交換・修理がきくのも、このガイドレールの良さですが、業者には一言注意するよう
話をしておいた方がよさそうです・・・。




                                    (介護型リハビリシステム研究所)