虫ゴムアンケート

   <一般的に虫ゴムはどの位、知られているのか??>


        このコラムでは、管理人が勝手気ままに感じたことを書き込んでいます。
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 ヘルパー講習会から老健の新人研修会など、講師としてあちこち出向く際は虫ゴムの危険性
ついて、必ず話しをするようにしています。
 会場内で虫ゴムを知ってるかどうかを聞くと、おおよそ10人中、1人〜2人位の方は知識が
あるようです(ひどい時は20人中、1人いるかいないかの寂しい時もありますが・・・)。
 残りの方は、虫ゴムの存在すら見たことも聞いたことも無いというのが現状です。
 また、仮に虫ゴムの知識があったとしても、車椅子のブレーキが空気圧に大きく依存していること、
そして・・・それには虫ゴムが大きく関わっていることを知っている方は皆無に等しいのです・・・。
 ある会場では、「自転車と車椅子の空気バルブって共通なんですか?!」と、驚く方もいました。

 これからも、コツコツと虫ゴム知識の普及に努めると同時に、虫ゴム撲滅にも努めていきたいと
考えています。 虫ゴムで命を落とすほど悲しいことはありません。そのためには・・・
「誰が管理していくか?」というのをはっきりしなくてはいけません。
「誰かがやるだろう」では結局、誰もやらないのです。見過ごした直後に事故はやってきます。
 施設における車椅子は整備担当者を決めると同時に、職員全体にも定期的に整備方法の指導
をする・・・その位はやらないといけないでしょう。事故は予防することが大切なのです。


約1年位前にリハビリ学校の4年生に特別講義をする機会がありましたので、そのときに車椅子の
アンケートをとりました。その結果を簡単に紹介したいと思います。
(これだけでも発表可能ですが、ポイント稼ぎの学会に出ても仕方ないので・・・ ̄∇ ̄;)・・・)
                                                                 世界学会の方がず〜っと自由でいいのにね〜


まず、自転車または車椅子の「虫ゴム」を知っていますか?
・・・の質問に対して、学生43人中34人が「知らない」と答えました。
答えを確実にするために、「知っている」と答えた方には簡単に図に書いてもらいました。
知っていたのは9人。おおよそ5人中1人です。以前20代のPTを対象にアンケートをとったとき
ほぼ同じ結果が出ました。まぁ・・・こんなものでしょう。。あまり期待してはいけません。
一般の方を対象にするのと結果はそれほど変わらないのです。


「知っている」と答えた対象者に、「虫ゴム」交換の仕方を知っていますか?
・・・と質問すると、「知らない」が5人で「知っている」が4人。更に少数に絞られました。


次に、「虫ゴム」交換のやり方をどこで・誰に教わりましたか?
・・・この質問には、いつでも面白い回答をもらうことができます。4件全部を紹介しましょう。
1.「自分で見て、経験で」・・・が1件。
2.「自転車の改造の本で読んだ」・・・が1件。
3.「事務長の○○さんに教わった」・・・が2件。
※3番目の回答者は、リハビリ学校で自分の自転車に空気が入らない時に、そこの事務長から
「虫ゴム」のことをたまたま教わったそうです。もう一人も近くにいて教わったのでしょう。 (´▽`)

う〜ん・・・・・まぁ・・・・何と言いましょうか・・・リハビリ学校の教師が教えることはなく、
たまたま事務長が2人の学生に本人の自転車で教えていた・・・という・・・・でも、こんなものです。
思ったとおりの回答でした。
このまま、学生は卒業していってぞくぞくと専門職の仲間入りとなるわけです。 (-_\)全国で、この傾向


他に、「虫ゴム」を実際に交換したことはありますか?
・・・の質問には、「虫ゴム」交換の仕方を知っていると答えた、4人全員が「はい」

「虫ゴム」交換は知識だけでは×。実際に体験することが大切です。一度やったら忘れません。
では・・・「いつ、どこで、だれが」知識と体験を教え授けるか??
教育という場面が一番効率的ですが、学校でも卒後講習会でも行われていない実情があります。
患者の体だけみていればそれで良いのでしょうか?大切な環境をなおざりにしていませんか??
仮に環境を整備したとしても、それらは定期的に点検・整備をしないと事故の原因になるのです。


最後に、「車椅子の整備」はリハビリ専門職(PT・OT)が管理・指導すべきと思いますか?
・・・の質問に対しては、学生43人中34人が「はい」という回答でした。
「いいえ」と答えた9人はいずれも「虫ゴム」そのものを知らない学生でした。
いずれにせよ、5人中4人の学生が「車椅子整備」について前向きな考えを持っていることに
多少なりとも救われた感じがします。。。あとは知識をどこで植え込み、伸ばすか?・・・ですね。。


        

※車椅子操作方法を教える際に、「虫ゴム」の位置と交換方法を
  一緒に教えましょう。「皆、知っているはず」は思い込みです。




・・・・この現状で現職の専門家・教官の意識を変えるのは非常に厳しいですねぇ・・・期待しても
無理かも知れません・・・逆に「ポイントがらみの講習会と抱き合わせ」にするのがベストかも・・・
でも・・・それを企画する側も意識が低くては、実現そのものに時間がかかるだけでしょう・・・。
それをのんびり待っていても、その間に多くの大切な命が失われていく可能性が大なのです。
ここはやはり、「元から断つ」・・・つまり、
車椅子には「虫ゴム」そのものを使わないようにするのが
一番だと思います。車椅子に関わる関係者の皆様方、「虫ゴム」撲滅に是非ご協力下さい!!




                                    (介護型リハビリシステム研究所)

車椅子気ままコラム・・・第12回