「台車」と「車椅子」

        車椅子は台車なのか?

最近、「外国製の素晴らしい車椅子」が座り心地や操作性で、脚光を浴びてきたことで、
今までの一般に普及している普通型車椅子は格下げされ、一部で「台車」と呼ばれてるそうです。
「台車」というのは「単に椅子に車をつけただけの、『利用者の快適さ』を無視した粗末な物」
または、「人を乗せて運ぶ為の単なる道具」という意味だそうです(もし間違ってたらご免なさい)。
悲しいことに今までの車椅子は、それらの高度で高価な車椅子(外車)に比較されて、
「操作も乗り心地も最悪な低次元な道具」という位置づけにされてしまったのでしょうか?





普通車に比べて、軽自動車を「ゲタ」と表現した雑誌を見かけたことがあります。
高度で高価な外車に比べて、既存の一般的車椅子を「台車」と表現するのは、
それと同じ意味合い(愛情表現)なのかも知れません。。。
(私は、軽自動車こそミラクル!世界に誇れる自動車だと思っています。
大型バイクに乗ってたこともありますが、50ccスクーターの方が実用的で好きです。)


確かに、私もこのホームページ上で、メーカーに
「車椅子は椅子に車をつけただけのものじゃないんだ!」と、訴えています・・・
・・・ですが、それは最低限の「安全面」をメーカーに考えてほしいと願ってのことで、
他の上級車椅子と差別しているわけでも何でもないのです。

個人的には、いまある車椅子を「台車」などと呼びたくはありません。
なぜなら、今世の中で一番普及していて、多くの方が頼って使っている車椅子だからです。
「台車」と呼ばれる代物でも、十二分に「離床」をはじめADL・QOLで役立っています。
むしろ、安価でも四六時中現場で元気に頑張っているスタンダード車椅子は愛しくもあり、
何とか守りたい存在なのです。

メーカーには量産型で数売って収益をあげるという制約の中で、コストの問題もあるでしょうが
安全基準を下げる方向に走らず、逆に上げていってほしいと願うばかりです。
例えば、少なくとも国内メーカーの車椅子であれば例え海外で生産したとしても、「虫ゴムレス」
のタイヤにするとか、「ブレーキだけはシッカリ」した物を取り付けるとか・・・
もしくは、夕暮れ時に屋外で走行しても危険でないように「反射テープ」を四方に貼るとか・・・
挟み込み事故などに対しての「注意・警告シール」を各部に貼り付けるなど・・・

そういったことで、
     「乗り心地」「使い心地」への配慮が無理でも、
         少なくとも「命を守る」配慮くらい

は国内メーカーにできると思うのです。⇒場合によっては販売所レベルでも可能だと思います。
基本構造の変更が無理なら、パーツや付属物で可能なことから始めては如何でしょうか?

そうした、改良点(事故の可能性が少ない、メンテナンスが容易など)を「売り」にすれば
多少値がはってもそちらを買ってくれるはずです。
特に、病院・施設では事故については最近かなり神経質になっているので。。。
同時に、海外の素晴らしい車椅子を参考に「より良い車椅子」も開発して貰いたいと思います。


また、「台車」という表現は、「台車」そのものにも失礼な気がします。
「台車」は相当な重さや衝撃に耐えられる道具で、私はスタンダード車椅子こそ「台車」なみの
タフさが欲しいと願っている次第です。
もし、台車メーカーに車椅子を作って貰えば、もっと安く丈夫で素晴らしい車椅子を作ってくれる
のではないでしょうか??
今、使われている「台車」は現場のユーザーの声を聞いて確実に進化してきたものと考えます。

車椅子を「台車」という表現が、軽自動車を「ゲタ」と表現したように、
日常的に良く使われるものを愛情を込めて使っているのなら良いのですが・・・
それでも「ゲタ」にはゲタの良さ、「台車」には台車なりの良さがあると思いませんか??
その「ゲタ」や「台車」ですら、十分に手に入らない国だって現に存在するわけですから。。


・・・そうは言っても、ここ10数年来、一部車椅子の進化には目を見張るものがあります。
パンテーラ」という車椅子をはじめ、各社ある程度のお金を負担すればかなり
良い車椅子を手に入れることも可能です。
利用者には「選択する権利」があります。取扱各社(リハビリ機器メーカーを含む)や行政には、
きちんと、上級車椅子〜普通型まで幅広くパンフレットなどで紹介して貰いたいと思います。

身体障害者手帳をお持ちの方は、役所やかかりつけ医、かかりつけPT・OTに
相談してみて下さい。⇒リンク先のホームページでも詳しく紹介されています。
介護保険優先とは言われていますが、身体障害者手帳でもスタンダード車椅子では
自分の体に合わないという理由で受け付けてもらえるはずです(入所中でも可能とのこと)。
(※厚生年金による車椅子作成という裏技もありましたが、昨年12月でなくなりました。
このことを危惧してあえてホームページ上では取り上げなかったのですが・・・
1980年後半から今まで、何十台とこの書類審査制度で製作してきたんですけど。。残念)


●「パンテーラpanthera」というスウェーデン製車椅子の体験レポートを近く特集したいと思います。



                                  (介護型リハビリシステム研究所)

車椅子気ままコラム・・・第5回
←これが「うわさ」の高級外車パンテーラ!
  職場にデモ車がやってきました。
  格好よさと価格に怯まずに、
  なるべく辛口のレポートにしたいと思います。
  「気になる車椅子」・パート3で紹介予定です。