「身体障害者手帳」活用法

       行政機関を賢く利用する


今回は、「車椅子の改造をメーカーに安価でやってもらった」という話題です。

専門家や介護保険ご利用の皆様方、
介護保険が優先だから、車椅子の改造はやって貰えない・・・とか、
入所中の場合は身体障害者手帳の適用はあり得ない・・・とか、
勝手に思っていませんか?

まぁ、行政当局も(時には担当者によって)その場その場で対応は異なるようですが・・・

今回のケースを是非、参考にして頂きたいと思います。
初めから諦めずに、まずは実行してみる・・・そうすれば思わぬ良い結果が出る事もあるんです。






↑ 以前も取り上げましたが、この車椅子のお話に続きがあるのです。
この車椅子(本人専用)を使用されている入所の方が非常に体格が大きく、介護職が
乗り移り(トランスファー)を行うのに限界です・・・と言って来ました。
よくよく話しを聞くと、肘のせ部分が邪魔になるようなのです。
なるべく前までずらして乗り移りするよう指導したり、様々なアプローチを行ってきましたが
本人の筋力や能力も徐々に低下してくる中で、環境的にも限界との結論に達しました。
このままでは、介護負担は増加し、事故の起こる可能性も高まりますので。。

そこで、ご家族も交えて以下の件を検討しました。

@新しく肘乗せ(肘掛け・アームレスト)が取り外せるタイプの車椅子を購入して頂く。
A当施設で新しく車椅子を購入する。
B今使っている車椅子を改造する。
C事故のリスクを配慮して、離床回数を再検討する。

上記、検討内容のCはなるべく避けなければなりません。
以前は、当施設の車椅子を無理やり改造して使ってもらっていた時期もありましたが、
やはり、長期入所になりますと本人専用の車椅子で快適に過ごしてもらうに越したことは
ありません。
Aの施設購入の話は購入申請してはいますが、予算の都合で遅遅として進みません。
それに、長期入所となると一人の方が使い続けることになり問題も生じやすくなります。
B本人用の車椅子を改造・・・とも、考えましたが、アルミフレームなので加工も大掛かり
で、素人改造だと強度に問題が出る可能性もあります。・・・かといって業者に任せると、
それだけで新しい車椅子が購入できるかも知れません。
結局@の新しい車椅子購入・・・という線で話しは進んでいたのですが、

物は試しに
今使っている、この車椅子は身体障害者手帳で作ったものなので、一度行政に連絡を
して貰う・・・ということにしました。「改造申請」ということで・・・。

すると、何と!すんなり「OK」が出たのです。介護保険使用中、入所中に関わらず!!

その後、比較的早め(約半月後位)に車椅子を作った業者が様子を見に来ました。
本人と家族、私と看護師、立会いの元で要望を話して、両側の肘のせをテーブルカットに
患側下肢足部のフットレストにヒールループを新しくつけて貰うことになりました。

そして約1ヶ月半後にきれいに仕上がって戻ってきたのです!!!



↑これが、その改造済みの車椅子です。
綺麗にテーブルカットしてあります。これでトランスファーが楽になり、介護職に離床を
進めてもらうことができます。
また、ヒールループもきちんとつけて貰えました。
やっぱり、さすが業者ですねぇ〜。素人とは全然仕上がりが違います。

それで気になる自己負担額は???
何と!!!
これだけやって、たったの・・・

      1600円

                                         ・・・だそうです!!

・・・ね♪やっぱり、行政は「賢く」「上手く」利用しなくちゃいけないんですよ。
端(はな)っから諦めちゃあいけません!!!


※今回の対応は「たまたま」だったのかも知れません。
行政や窓口担当者によって対応は異なることが多いので御注意下さい。






                                  (介護型リハビリシステム研究所)

車椅子気ままコラム・・・第3回