アームレスト(肘掛け)整備法
            パート2

      変形した脱着部分の整備



今回は一歩間違えば、「車椅子は語るシリーズ」に送られるはずだったケースを紹介します。

このタイプは肘掛けが「ディスクタイプ」という、机にスムーズに寄せられるように切り込みが
入ったものです。
更に、横への乗り移りがしやすいように取り外しができる「脱着仕様」になっています。

     

        ↑ ここのジョイント部分にかなり致命的な故障が発生しました。
        ここからでは分りません。「ぐ〜っ」とアップしていくと、見えてきます・・・




↑はい。ここです。「ちょっと」歪んでいるのが分りますか???
おそらく、無理に外そうとして歪ませてしまったものだと思います。
ちょっと見ただけでは「何だ、この位。別に使えるじゃない。」と思うでしょ?
ところが、そうはいかないんですねぇ〜。




↑油を差しても、動きが出ないので出っ張り部分をペンチで押さえると・・・




↑ぁちゃ〜!入り込んで、出てこなくなってしまいました。
これでは、このまま車椅子に戻しても抜けやすくて危険です。
肘掛け部分を引っ張る方も中にはいますから、「すぽっ」と抜けて『転倒』にもなりかねません。




↑そこで一端、このポッチ部分をドライバーで押し出します。
ある程度出てきたら、ラジオペンチで抜き取れます。




↑はい!この通り、抜き取ることができました。
この状態・・・・どこかで見たと思いませんか?? そう!調整杖も同じ構造なんです。
よく見て下さい。フレームの歪みで穴が変形しています。
この穴の変形が原因で、引っかかりが生じていた・・・と言う訳です。

・・・・と、いうことは単純に「穴を広げればよい」・・・・のでは?



↑それでは、電動ドリルで穴を広げていきましょう。。。




↑広げた後は、このように・・・ラジオペンチでつまんで元に戻します。

     結果は・・・・・?!

  

↑このように、気持ちいいくらい「ピョンピョン」もどるようになりました。

・・・と喜んで、車椅子にはめようとすると
      更に、問題発覚!!


車椅子に上手くはまらない・・・かなりキツイ・・・ことが判明しました。




↑簡単な対処法としてはこのように別方向から差し込んで、
グリグリ捻ったり回転させていれば、自然と凸側・凹側の歪みが矯正されていきます。

 結果、すんなり着脱できるようになりました


【まとめ:脱着部分が抜けない車椅子があったら・・・】
@注油して、少しずつずらして抜いてみる。⇒抜いた後は、注油や歪み矯正を行う。
Aどうしても抜けない場合、初めから抜くことを諦めて、着脱を「封印」する。
B修理に出す(車椅子業者または自転車屋さんに)。
※抜けないものを無理して強引に抜こうとすると、ケガをする危険もあります。

車椅子のジョイント部分は壊れやすいので取扱いには十分気をつけましょう。
(殆どはサビ付きによる固着が原因ですので、定期的な注油が必要になります)





                                  (介護型リハビリシステム研究所)

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