その他の環境整備【30】

   杖の切り方(金属篇)

 今回は、金属製の杖を切って調整しましたので紹介したいと思います。
 かなり使い込まれた杖でしたので、ガタツキ修正も行いました。
 比較的、珍しい傷み方をしていましたのでご覧下さい


利用者の、初めての評価(初回評価)で、歩行状態(歩容)が変な方がいました。
麻痺もなく、関節障害もないので何故だろう?と思っていたのですが、原因は杖の長さと
ガタツキによるものでした。
今回は、そのガタツキを調査して可能な範囲で修正した・・・という内容込みで特集します。




↑上が理想的長さ、下が今回修正する杖です(歪んで見えるのはカメラのせいです)。
以前も「杖の切り方」で紹介しましたが、まず理想的長さの杖を使って歩行してもらい、
十分に納得してもらった上で、尚且つ「気持ち長めに切る」・・・というのが原則です。


「随分、ガタガタするなぁ〜・・・」と思ってよく観察したら・・・以下の状況を発見しました!!



↑杖の長さ調整用の穴が、めくれて広がっています!ここまですごいのは初めて見ました!




↑同時に、継手にも隙間ができ、金属周径が綺麗に剥がれています。




↑何と!恐いことにポッチ部分もえぐれています。すごいですねぇ〜!!
本来は、この時点で買い替えをお奨めするのですが、様々な事情で簡単にいかない
というのが辛いところです・・・。何とか可能な範囲での修正を試みることにしました。




↑ポッチ部分は外すとこうなっています。ここでポッチの向きを約90度変えました。
上下方向のえぐれがひどかったので、左右方向に変えた・・・というだけです。




↑次に、杖の長さをあわせます。このタイプは2箇所で杖フレームを分割収納できます。
ただ、内部にゴム紐が入っているので、ヘタな所をカットするとバラバラになってしまいます。
上の画像は、そのゴム紐の位置を確認する為に、ペンチの柄を突っ込んで確認しています。




↑この深さまでなら問題なくカットできる・・・と言うわけです。




↑次に登場しましたのが、パイプカッター!!以前にもイレクターのケースで紹介しました。
このように挟めて、クルクルと少しずつ回しながら締めていくと、パカッと簡単に切れます。




↑切れた状態です。上手いこと、ゴム紐の尻尾(シッポ)が覗いています。。




↑継手の隙間部分はセロテープで埋めました。
色々と試しましたが、セロテープが一番調整しやすくて簡単です。




↑できあがり!!
穴の位置は杖をカットしたことで、広がった穴を使わないですみました。
最終的にガタツキは殆ど無くなり、本人の手元に戻っていきました。

後日、御家族にお会いして近いうちに杖の交換が必要である旨伝えました。


「パイプカッター」はホームセンターや100円ショップでも扱っています。
値段は400円〜で販売されています。効率と仕上がりを考えると1つは欲しい道具です。






                                    (介護型リハビリシステム研究所)