車椅子検証シリーズ「車椅子は語るC」

   
 致命傷車椅子ファイル

    【キャスター・ベアリングの破損】
◎このシリーズは、作者の経験と思い込みで構成しています。予め、ご了承下さい。

車椅子の点検・整備を長いこと続けてくると時々、「なんちゅう壊れ方すんじゃ?!」と
驚いてしまうことがあります。

逆にそこを調べると、商品の欠陥や使われ方の特色などが見えてくるのも事実です。
まさに、「壊れた車椅子が語りかけてくる」がごとくです。

今回は、比較的よくありがちなキャスター・ベアリングの破損について考察します。




↑キャスター中心部分の拡大画像です。
このように中心にボルトが入っています。このボルトを介して車椅子本体からキャスターに
体重がかかっている(移っている)というわけです。

このボルトを抜き取ると・・・・



↑このような金属の丸い筒状の物が残ります。
この、シルバーに反射している金属がキャスターのベアリング部分です。
中央ボルトとキャスター車輪の間にある部品になります。
これは1個のキャスターに対して、穴の外側に1個ずつ・・・合計2個押しこまれています。

ボルトにかかった体重はこの部品を介して、キャスターへと伝わっているのです。

このベアリングは中央の穴からドライバーなどで中から押し出したり、引っ掛けて引き出す
ことで外すことができます。



↑ベアリングを外すとこんな感じです。この穴の外側にはめ込まれていたわけです。




↑本題に入ります。
ここにキャスターから外した3つのベアリングがあります。
一番左は正常のベアリング。右の2つは壊れたベアリングです。
ベアリングの中身は画像に写っている玉です。この玉が外周と内周の筒の間に
収まっています。
外側の丸いリングは玉のカバーで、実際に体重はこの玉を介して伝わっています。

つまり、車椅子の体重はキャスター車輪に伝わるまでに・・・・
車椅子本体⇒ボルト⇒ベアリング内周⇒ベアリング玉⇒ベアリング外周⇒キャスター車輪
・・・と、数々の部品を介しているわけです。
ベアリングは抵抗を最小限にして、スムーズな動きを行うべき場所に使われます。


【悲劇のヒロイン、キャスター・ベアリング】
キャスター・ベアリングの殆どは、床から下縁付近まで5〜9cmとかなり低位置にあります。
基本的にフットレストよりも常に低い位置にある部品なのです。



↑冒頭でも述べましたが、
「床に近い」という状況は、床の髪の毛・ホコリを巻き込みやすく
水場では水がかかりやすい環境にあるわけです。
尚且つ、大車輪に比べて回転数も多い上、段差のショックもモロに受ける場所なのです。



↑ベアリングのカバー(外周リング)には当然隙間がありますので、
このように、ホコリや髪の毛を巻き込み、玉の部分まで入り込んで回転を妨害し、
徐々にストレス(金属疲労)を与えて、歪ましたり割れたりしていくわけです。



↑キャスターはその施設での使われ方を正直に物語ります。。。

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それでは、「キャスター・ベアリング整備」について改めてまとめてみましょう。

@定期的に車体より外して、ベアリングに絡まったホコリ・髪の毛を掃除する
A掃除したあとは注油して、動きをスムーズにしておく。
Bメーカー側は、ホコリなど巻き込まないようにゴムでシールするなどの対策をとるか、
強度をもう少し高める工夫をお願いしたい。(もし、キャスターがノーメンテナンスと謳うなら)
※台車のキャスターなんか、同じような環境で場合によっては何トンも負荷がかかる状況
で問題なく使われ続けているんですから!耐久性は高められる「はず」です!
可哀想な万年ヒロイン、「車椅子キャスター・ベアリングちゃん」に愛の手を!!
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車椅子は語るD」では、もう少し「ベアリングの構造」にスポットを当ててみたいと思います。
                                     (介護型リハビリシステム研究所)
     【ベアリングについて】
ベアリングとは機械の回転部分を効率良く回転させる為に用いられる部品です。古代エジプトでピラミッドを建造する際に「ころ」を用いていましたが、ベアリングの原点はこうした古代に重いものを楽に運ぶ際にも使われていました。

ベアリングにも様々なタイプがありますが、ここでは車椅子でよく使われているボール(球)ベアリングについて取り上げています。ボールベアリングは、回転する軸と固定されたフレームとの間の摩擦を減らし、軸が円滑に回るような働きをしています。