2007-12-16
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(2) | ||||
「・・・なんだこの不気味な地震は!」
そのとき、高台から梧陵の見たものは、 風とは反対に沖へ沖へと引いていく海だった! 「津波がやって来るに違いない」 「村人はまだ何も知らない、一刻も猶予はできない、どうして知らせよう」 「おーい ! 津波がくるぞー ! 、 聞こえん ! 他に手だてはなし、 、 もったいないが、刈り取ったばかりの 、 この稲むらに火をつけて ! 」 | ||||
梧陵は気が狂ったように稲むらに 火をつけてまわる。 | ||||
「皆早くこの火に気づいて、 高台に上がってきてくれ ! 」
一同、高台の火に気付き 、
「火事だ、火事はどこだ 」 、 「大変だ、梧陵さんの家だ !」 | ||||
真っ先に高台に上がった安彦は 「わー ! 燃えてるのは稲むらだ 一年分の収穫だ」
ときばあさんも上がって来て、
「梧陵さん ! 火を消してくれ ! 」 「いや、消さぬ ! 、 それより皆を集めるんだ !」 | ||||
集ってきた村人に、梧陵は、海を指して 「津波が来るんだ ! 」 | ||||
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* 印の写真は、浜松市・劇団からっかぜ 布施佑一郎氏の撮影です。記して謝します。