特殊報告 パート1

         電動車椅子篇

これは、あまり専門的で特殊な事例なので、報告しようか迷ったのですが、
ここのところ、あまり「これは!」といったものが発見できなくなってきたので、
とりあえず、簡単に報告します。
「もし」似たようなケースを抱えた方、同じような症状の方には参考になるかもしれません。

この間、半年がかりで通所の方に対して「電動車椅子」を給付してもらいました。
給付のルートに関しては、ここでは紹介しませんがロホクッションを含めて給付して貰えたので
よかったと思います。

この方は、「延髄梗塞」という疾患を抱えた方で、四肢に重度の麻痺があります。
車椅子操作もできず、自分の意思で移動することは全くできません。
左の上肢は僅かに動きがあり、前腕は回内方向と、回内から回内回外の中間位まで戻せますが、
回外動作は困難です。前後は辛うじて動作できます。

つまり、電動車椅子では左方向に動かせないという状態なのです。



↑標準では、このように肘掛に対して垂直に立ち上がっています。
これでも、製作現場でかなりレバーを近くまで寄せてもらったのですが・・・・
なかなか上手く操作することができません。レバーを外に倒せないのです。



↑そこで、あれこれ考えて「風鈴」を持ってきました。最近あまり使っていないので・・・
この杖の切れ端を上手いこと使おうというわけです。まぁ、見てて下さい。
レバーが立ててダメなら、寝かせればいいんですよ。



↑レバーを取り付けてあるネジ山と、同じネジを筒の穴にネジ込みます。
無理やりネジ山をつくっているわけです。



↑蛇腹部分はビニールシートで覆って(ホコリ除け)、垂直に出ているネジにネジ込んで・・・
こんな感じに仕上げました。押さえると右、ちょっと持ち上げると左に動くようになりました。
これで、実際にかなり操作性が向上しましたので、
あとは細かいセッティングとトレーニングで、何とか日常移動の実用化ができそうです。

「垂直レバーを横にした」という話でした。ちなみに、レバーがズレないように六角ボルトで
下から締め付けてあります。
もう少しお金をかければ、いいものができそうですが、本人から「予算をかけずに」という
要望もあり、このような改造に至ったわけです。
本人の満足度も高く、やってよかったという事例でした。
(・・・以外に、車椅子屋さんからはレバー形状の提案はないんですよねー。
どちらかというと、専門的で細かく自助具に近い部分だからなのでしょうか??)

追記:
肘が安定しないので、肘乗せホルダーをシーネ(医療用:骨折部等の固定に使う)でつくりました。
肘乗せのポルトなどに一緒に固定してあります。
これも、今後使用しながら微調整していくつもりです。



結構、専門的な話になってしまいましたが、「シーネ」を使うというのは今後何かのヒントに
なるのではないでしょうか?
                                     (介護型リハビリシステム研究所)

六角ボルト
ビニールシート
杖の切れ端