「身障手帳」活用法 その2

       行政機関を賢く利用する


ずいぶん前に、「車椅子の改造をメーカーに安価でやってもらった」という話をしました。
2005年6月の話題なので、2年半も前の話です。

前回も説明しましたが介護老人保健施設に入所中でも、
普通型の車椅子が体に合わない、または手帳で作った車椅子が合わなくなった
・・・という理由で身体障害者手帳での車椅子作製・改造が可能です。

介護保険が優先だから、車椅子の作製や改造はやって貰えない・・・とか、
入所中の場合は身体障害者手帳の適用はあり得ない・・・とか、
勝手に思い込んではいけません。
介護負担を減らし、自立度を高めるには、身近な環境を整える必要があるのです。

詳しくはお住まいの自治体・福祉事務所で問い合わせてみてください。
行政当局も(時には担当者によって)その場その場で対応が異なるようですが・・・。

初めから諦めずに、まずは実行してみる・・・そうすれば思わぬ良い結果が出る事もあります。

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【これまでのあらすじ】



↑ この車椅子(本人専用)を使用している方が体格が大きく、
介護職が乗り移り(トランスファー)を行うのに重くて限界です・・・と言って来ました。
よくよく話しを聞くと、移乗時に肘のせ部分が邪魔になるようなのです。
なるべく前までずらして乗り移りするよう指導したり、様々なアプローチを行ってきましたが
本人の筋力や能力も徐々に低下してくる中で、環境的にも限界との結論に達しました。
このままでは、介護負担は増加し、事故の起こる可能性も高まります。




↑そこで、肘掛け部分をテーブルカットしてもらいました。
これで移乗の問題は解決しました。
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・・・あれから2年半・・・


再び、同じような訴えが介護職から頻繁に聞かれるようになってきました。

理由は・・・
@本人の脚力がかなり低下した(支えられない)。
Aそれに伴い本人の体重が徐々に増えてきた。
B介護職ベテランが減り、技術力が全体として低下傾向。
・・・以上の3点です。

そこで、今回も以下のような件を検討しました。
@新しく肘乗せ(肘掛け・アームレスト)が取り外せるタイプの車椅子を購入して頂く。
A今使っている車椅子を改造する。⇒さすがに無理か??
C事故のリスクを配慮して、離床そのものを再検討する。

上記、検討内容のBは老健としてなるべく避けたいところです。


早速、ご家族を通じて「行政」「業者」に連絡してもらい
見積もってもらうと・・・何と!!改造で何とかなるとのこと。

『ホントに〜?!作りかえた方が早いんじゃないの〜???』と思いましたが、
業者が「できる」と言うので任せてみることにしました。


そして・・・今回も約1ヶ月半後にきれいに仕上がって戻ってきました!!!




↑これが、その改造に改造を重ねた車椅子。
今回は、少しでも移乗しやすいように介助用タイヤにしてもらいました。
片足駆動の練習は毎日続けているので、自力でこぐこともできます。
(一応、以前つけていた大車輪も残してもらいました。)




↑このように肘掛けを外すことができます。ブレーキも根元から外れます。

強度が心配だったのですが、左右の角に補強をすることで何とかしたようです。

現場(介護職)も何とか使いこなして頑張っています。


 行政機関はなるべく賢く利用しましょう。

ちなみに、今回の改造費は8万円(?!←新しくした方がいいかもと思える費用)でしたが、
実際には1割負担とのことで8000円でおさまったようです。




                                  (介護型リハビリシステム研究所)

車椅子気ままコラム・・・第23回
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