「ブレーキ」整備法 パート13

   ずれるブレーキの解決法・その1

「ブレーキをかけてもズレてしまって効かないので見てください。」と言われました。
このブレーキズレ現象、実はガタが原因であることが多いのです。
ここでいうガタというのはネジの緩んだ状態を言います。
(他にはブレーキ本体の歪みや、破壊、ネジの脱落など様々あります・・・)

ブレーキをかける前と後でのガタというと、まず最初にブレーキそのもののネジを疑います。
・・・ですが、ブレーキのネジはきちんとしていますし、本体もそれほど問題はなさそうです。

     それでは原因はどこでしょう?? (_・;)>?


 

       ↑ブレーキをかける前                 ↑ブレーキをかけた後

微妙にブレーキをかける前とかけた後では、ブレーキのあたる位置が違うのがわかりますか?

この場合、実はブレーキが悪いのではなく、大車輪そのものが「逃げている」ことがあるのです。
(多少、ブレーキそのものにも歪み・ズレはありますが、ここでは無視してください。)

・・・・もう少し、わかりやすく説明しますと・・・・


  

      ↑左の画像と右の画像・・・どこが違うかわかりますか???

                間違い探しみたいですね♪

          正解はタイヤとブレーキのネジの「隙間」です。

          実は、ここで動かしているのは大車輪だけです。

      そう・・・ガタがあったのはブレーキではなく、大車輪の方・・・。

  大車輪を少し浮かせて揺すると、そこにガタが発生していることがあるのです。

       それでは早速、ここのネジをきちんと締めることにしましょう。




↑まずは、車椅子にうつ伏せ状態になってもらいます。
こうすると大車輪内側のネジが目の前に現れて、格段に作業効率が良くなります。


何度か特集を組んでいますが、大車輪のネジを回す場合、共回りを防ぐ為に両側に
レンチをあてる必要があります。→これはお約束です。




↑ところが、この車椅子には外側にネジがありません・・・
この場合、どうしたら良いのでしょう??

ずいぶん前に大車輪交換で説明したと思いますが、今回も同様の方法で行ないます。




↑多少、傷がつくかもしれませんが、マイナスドライバーでこじって開けるのが一番です。
マイナスドライバーで作業する際は、軍手などを使いましょう。
手が滑ってケガをする恐れがあります。私も何度もコレでケガをしました。 (;´д`)ゞ




↑はい!無事に外れました。このネジは奥まった所にセットされています。。

このタイプは「ハンドリムがない状態」で狭い屋内移動時に、大車輪中央のネジ突起がない分、
壁などを傷つける可能性は少ないと思いますが、整備となると厄介なネジ位置になります。

このタイプのネジには・・・・




↑このようなソケットレンチを使います。
持っていて損はないと思いますのでホームセンターなどで安いセットを買っておくとよいでしょう。




↑両側のネジにレンチをあてて右に回して締め付けます。
あまり強く締めすぎると、大車輪の回転が悪くなりますので、締めた後はスムーズに回るか
確認しましょう。回りが悪い場合は少し緩めてください。




↑ネジの締め付け調整で回転具合が変わらない場合は・・・
この部分に注油すると回転がスムーズになることがあります。
それでも変化がない場合は、ここの部分に髪の毛やホコリが溜まっている場合があります。
キャスターのように一端本体から外してきれいにして組み付けてみてください。



※似たようなケースを近く「その2」として特集する予定です。




                                     (介護型リハビリシステム研究所)