「キャスター」整備法・パート17

     〜 消えたダブルリングの謎 〜


前回、キャスターの脱落について特集したのは、2005年の7月〜8月頃でした。
それ以降もボチボチ整備していたのですが、今回は妙な「怪奇(?)現象」が起こったのです。

今回も同タイプの車椅子が「キャスターが落ちてしまいます」と、同じ症状で運ばれてきました。




↑ちょっと前輪を持ち上げただけで「ポタ、ポタッ」とキャスターが抜け落ちます。
これではまったく使い物になりません・・・。危険なだけです。
段差を乗り越えたと思ったら、直後に前のめりになって転落してしまいます。 ( ̄w ̄;)




↑とりあえずは前輪部分を持ち上げて・・・外れたキャスターの付け根をチェックします。
すると、ここで何とも不思議な、謎の現象を見つけたのです・・・。。。。  (;>_<;)




↑片方のゴム部分が異常に歪んでいます。一体何があったのでしょう???
それに右と比べると一番下と下から2番目の「Oリング」が2個足りません。




↑フレーム内に収めるための特殊な(細い)リングなので、ないと困ります。
手ごろな(代用)リングも探しましたが全く見つかりません・・・・。

それにしても不思議です。2個もいったい何処に消えてしまったのでしょうか???


   この2個のアイテムが( ̄〜 ̄;)見つからない限り次に進めません。


   ・・・しかし、意外なところから謎が解決できたのです!!(・)o(・)





↑変形ゴムの根元をよ〜〜く観察したら・・・な・なんと、リングが埋まっているではないですか!!




↑早速、取り出しました。紛失したと思っていたリングは2個とも埋もれていました。。




↑全部引っ張り出したら、ゴムの形状も元通りになりました。
良かった、良かった。これで何とかなりそうです。




↑ついでに、別のゴムは部分的に裂けていましたので・・・




↑適当に切りそろえました。。その後、組み付けます。




↑このように綺麗に仕上がりました (´▽`)ノ あとは元の場所に納めるだけです。




↑先端のネジをある程度、手で回して締め付けたらゴムに潤滑剤を吹き付けます。
(ここである程度締めていないと、後からネジを締めようとしても空回りしてしまいます。)




↑潤滑剤を塗るとスムーズにパイプに入れることが可能です。
場合によってはこれだけで脱落を防ぐことができ、問題が解決する場合もあります。
(工具がどうしてもない場合は、応急的にこれで様子をみるということも可能ですが、
くれぐれも注意して使いましょう。早めにネジできちんと締め付けることをお勧めします。)

きちんと根元まで押し込んだら、ネジ(ボルト)を締め付けます。
ネジの締め付け方法については、ここで紹介しています。
ですが、このやり方だとタイヤをいちいち外さなくてはならない手間と、締めすぎると
キャスターを方向転換をするためのベアリングを傷めるおそれがあるのです。

そのため、今回は「奥の手」として、そのための工具を製作することにしました。
結果は大成功でしたので次回の特集で紹介したいと思います。




↑修理の完了した車椅子。元気に最前線へと復帰していきました。






                                     (介護型リハビリシステム研究所)