その他の環境整備【50】
プラスチック装具が合わない
足装具整備シリーズ、前回に引き続いて特集します。
ちょっと専門的な領域かも知れませんが、知っていて損はない(?)特集です。
プラスチック下肢装具は軽くて着脱も楽なので、脳卒中の方を中心によく処方されます。
しかし期間や状態の変化で、足がむくんだり変形したりして装具が合わなくなることが
あります。無理して使い続けると、皮膚が赤くなったり、擦れたり、硬化したり、床ずれ
の様になったりとあまりいいことがありません。
傷みがあると歩くのも辛くなり、徐々に体力が低下して歩けなくなることもあります。
前回は採型してつくった当初よりも、足が浮腫んでしまったケースを紹介しました。
今回は逆に、採型当初は足が浮腫んでいたけれども、今は浮腫みがひいて緩くなって
しまったというケースを紹介したいと思います。
張り切って画像を収集したので今回は20枚もあります。。
そのため多少長めの特集になると思いますが、お付き合い下さい。
(;´д`)ゞ
・・・・では、何とか気合を入れて特集を始めたいと思います。
もし、途中からここを見ている方は是非、
環境整備【49】から見て下さいね。
今回行なう調整方法も一歩間違うと取り返しのつかないことになりますので、
あくまで参考程度にしてください。。。
↑今回は親指の付け根が痛いという方がいらっしゃいました。
この靴下・・・つま先が指ごとに各々分かれています。
これは軍足という足先がムレず快適な靴下です。私は履いたことがありません。
↑靴下の上から見た感じではこの通り、何となく狭いかな?と思える程度です。
↑装具の状態を確認するには皮膚をきちんと見なくてはいけません。
どんなに面倒でも、時間がなくても『急がば回れ』で、きちんと検証します。
良く見ると矢印部分が圧迫されて、やや赤くなっています。
それに比べて踵周辺には余裕があるのがお分かりいただけますでしょうか??
これは、やや
外反母指である影響もあるでしょうが、装具が緩んだためのズレに
よる影響もあると考えられます。
そのため今回はその両方からアプローチしたいと思います。
↑とりあえずは圧迫部分にマーキングをします。こうしないと修正位置が決まりません。
↑今回用意した物は、カナヅチ・ヒートガン・マイナスドライバー・ニッパなど。。
↑今回はカシメも準備しました。これは装具屋さんにおねだりして貰ったものです。
手芸屋さんとかにも売っているかと思います。
↑おもむろにマイナスドライバーで留め金(カシメ)部分をこじって外します。
※自信がない方はやめましょう。一度外すと取り返しがつかなくなります。
手が滑ってマイナスドライバーでケガをすることもあります。注意しましょう。
↑残った金具の芯はニッパで根元から「パチン!」と切ります。
↑そうするとこのように金具が外れて穴がポッカリと開きます。
↑余計な物(ベルト)が無くなったので作業が楽になりました。
ここで「
ヒートガン」の登場です!!
先ほど「
×」とマーキングした場所を中心に暖めて押し広げます。
↑その後、余分な部分はカッターで修正・・・・なるべく滑らかに加工します。
・・・さて、次に先ほどのベルトを元に戻す作業ですが・・・
今回はちょっと変わった(?)作業を取り入れます。
↑通常は今まで通り外側にベルトを固定しますが・・・・
↑今回は内側にベルトを固定したいと思います。
始めからこれが目的でベルトを外したんです。
「ヒートガンで焦がさないようにするため」じゃなかったんですよ〜。 ( ̄▽ ̄)ノ″
や〜い!
↑ベルトといっしょに内側から凸のカシメを差し込んで・・・
↑外側から凹(キャップ)部分を被せます。ぐっと押し込むと「パチン」とはまります。
でもこれだけでは直ぐに外れてしまうので次の作業が必要です。
↑下(内側)に当て金をして、上(外側)から「ガンガン!」叩いて潰します。
上から凹金具を当てておくと綺麗に仕上がりますが、うちにはないので・・・・。
↑完成!!このように装具の内側にベルトを固定することができました。
↑親指部分の圧迫もなくなり、緩くてもズレずに固定することができるように
なりました。個人的にちょくちょくやる裏技(?)ですが、かなりの確率で効きます。
ただ・・・何度も言いますが、この作業に慣れてない方はやめた方が無難です。
きちんと原因を追究せずに思い込みでやると失敗することになります。
できれば装具屋さんと相談(交渉)して「サービスで」やってもらってください。
かかりつけの優しい病院・施設・装具屋さんなら、きっと「サービス」してくれます!(?)
サービス料って請求されたりして・・・責任は持ちません  ̄∇ ̄;)
【追記】
この装具には別な装備がついていました。この際なので紹介したいと思います。
↑右足用の装具を踵から見た画像です。踵の外側に白いゴムが貼ってあります。
これは外側ウエッジと言って、外側部分に楔(くさび)をうつように高くすることで、
上の部分を内側に傾けることができます。
内反膝などで膝下が内側に反ってしまう場合(両側の膝が同じようだとO脚です)、
矯正する目的でよく使う手法です。
↑こんな感じです。O脚矯正サンダルなんかは外側が高く内側を低くしてあります。
同じ原理ですね。逆にO脚の人が外側の擦り減った履物を無理に履いていると、
どんどん助長されていく可能性が大なので靴底には気をつけましょう。
(介護型リハビリシステム研究所)