その他の環境整備【29】
変形足趾への靴整備
今回は、施設内でよく使うリハビリシューズのお話です。
リハビリシューズは、障害者・高齢者が履きやすく歩きやすく作られています。
色んなタイプがありますし、最近では左右別々のサイズでも買えるように
なってきました(脳外科時代にメーカーに散々意見したからかもしれませんが…)。
リウマチや、強度の外反母指で強度の変形がみられた方のケースを取り上げます。
いつものごとく事例報告です。これだけで簡単な大会で報告できるかも知れません。
↑「リウマチ性関節炎」の診断名のついた方の足趾画像です(左右同様の症状を呈しています)。
外反母趾(外転母趾)となり、母趾が示趾に重なるようになり、示趾が背面に突出しています。
突出部は、靴や布団などで圧迫され皮膚が壊死して、骨まで出てきていました。
足底部(踵など)も血液循環が悪く褥瘡になりやすい状態でした。
このような状態でしたが、本人の歩きたいという意欲が高いため、足部の状態が悪くなれば
歩行を中止し、良くなれば開始するという・・・治癒と悪化を繰り返していたのです。
これまでは、つま先をわざと開放してある特殊な靴を改造して使ったりしていたのですが、
結局他の部分(踵や母趾の付け根など)にズレが生じて上手くいきませんでした。
↑そこで、考えたのがこの3点セットです。
一番左が「プレースウォーカー」という、比較的弾力があり、ゆとりのある靴です。
首をかしげる装具屋さんもいますが、私は足趾に変形がある方によく使います。
真ん中がスポンジクッションです。画像では分り辛いですが2枚重ねています。
一番右のが、スキー靴を履くとき、つま先のスペースを埋める為のカバーです。
↑スポンジを靴に入れて、つま先にカバーを装着して靴を履きます。
このカバーは靴と皮膚のズレを防止する効果があります(歩行訓練時のみ使用)。
↑両方装着すると、こんな感じになります。本人もかなり気に入っています。
この3点セットが今までで一番経過が良いようです。この2〜3ヶ月間、問題なく使えています。
「空間の確保」と、「圧力の分散」という考え方が功を奏したという一例(事例)です。
(介護型リハビリシステム研究所)