その他の環境整備【35】

  シルバーカー調整法U

 前回のシルバーカー調整法は、高さとキャスターについて説明しましたが、
 今回は、シルバーカーについているハンドブレーキが効かなくなったら?
 ・・・という話題です。

 シルバーカーのブレーキ構造も基本的には車椅子と同様、タイヤ表面に
 金具を食い込ませて、その抵抗で制動するタイプが多いようです。
 (シルバーカーは各キャスター内部に、ロック機構をつけているものも多く、
 車椅子より、はるかに安全に制止させておく能力が高い道具のようです。)





↑コンパクト・シルバーカー。このタイプは握り手の両方にブレーキレバーがついていました。
片方レバーを握っても、ブレーキは後輪両方にかかるような構造になっています。
(ただ歪みなどが生じるため、片方だけで両輪ブレーキをかけるのは、実際無理なようです。)

このシルバーカーが左ブレーキが効かないということで、やってきました。




↑早速、状態を調査します。ハンドル側のブレーキを目一杯握って・・・・




↑直ぐ下のブレーキを目視すると・・・左側にこれだけの隙間ができていました(矢印部分)。
これではブレーキは効くはずもありません。


この場合、どうするか??・・・と、いうと自転車のブレーキ調整とやり方は同じです。
オートバイや自動車もアクセルワイヤーとか、ブレーキ等で同様の調整を行うケースがあります。
基本的に整備上は、「伸びて当然のワイヤーが伸びたから調整する」だけの話しなのです。





↑では・・・、その為に用意してある「調整箇所」で調整したいと思います。。
このように、まずはワイヤーの直ぐ上にある六角ナットをレンチで緩めます。




↑そしたら、そこのバルブ状の丸いギザギザをつまんで左に回します。
そうすると、ワイヤーがその分だけ引っ張られて、少しずつ調整できます。
(ネジが硬い場合は、潤滑剤をスプレーしたり、ペンチで回してください。)




↑ブレーキを握ってしっかりとブレーキが効くことを確認したら・・・




↑その場所で六角ナットをレンチできっちりと締め付けて、単なる調整作業の終了です。。
構造(タイプ)によっては、手元(ブレーキレバー側)で張りを調整することもあります。


実に簡単な作業内容ですが、放っておく(見て見ぬふりをしている)と近い将来
事故をおこす可能性が高いと考えます。気がついたら「その場で」調整してあげてください。
車椅子も、介助者用ブレーキで同様の調整を行うケースがよくありますので、
今後、気がついたら「車椅子整備」にて紹介する予定です。






                                    (介護型リハビリシステム研究所)

 
←見え辛いですが、
  両方にブレーキレバーが
  ついているんです。
ワイヤーの伸びが今回紹介した
ネジ回し調整範囲を越えた場合、
ここの裏にあるボルトを緩めて
ワイヤーを引っぱり出す・・・
という作業を行います。
また、機会があれば紹介します。