「キャスター」整備法・パート15

   キャスターベアリングが固着したケース

今回はキャスターのベアリングがガッチリ固着したケースを特集します。
キャスターベアリングは丸洗いをしたり、雨の中を走行したりすると中でサビが発生して、
バラバラになったり、固まって動かなくなる固着などの状態を引き起こしてしまいます。。
バラバラになるのは日本以外のアジア圏で相当安価に生産された車椅子に多いようです。




↑今回、固着を起こしたのはこの車椅子。。
一応、日本のメーカーです。特に不具合を指摘されたわけでなく、整備途中で発見しました。


   

↑左が問題が無い方、右が固着した方のベアリングです。
固着して中央が回転しない分、ベアリング全体が無理やりに回転していたのか・・・傷だらけです。
おそらく、ベアリングそのものは日本製なのでしょう・・・バラバラになる気配はありません。
ただ、相当頑固に固着していて、どんなに力を入れてもピクリとも動かないのです。。。

でも、代わりのベアリングがないのと、細かい部品を車椅子メーカーは譲ってくれないので
(ベアリングメーカーに直接注文すれば可能かもしれませんが・・・)、何とか復帰させられないか
試してみることにしました。

要(理屈)は、中で「サビ付いている」のを、サビを取り除いて可動させればよいのです。

果たして・・・理屈どおりに行くのでしょうか?????

しかも、老人保健施設では使える材料も限定されています。
でも逆に、方法(裏技)が見つかれば在宅においても応用可能「かも」しれません!




↑あれこれ考えたあげく・・・油に浸すことにしました。
エンジンオイルとか、灯油とかでできればよかったのですが、手近になかったので厨房で
サラダ油をコップ一杯貰ってきて、洗剤計量スプーンに入れたわけです。
(※これはあくまで応急処置ですので、決しておすすめしているわけではありません。)

浸したら、割り箸の先で「ツン、ツン、」つついて、ベアリング内部から気泡を出します。
(気泡が出るということは、内部に油が浸透してるという証拠です。気長にやります。)




↑泡が出なくなってしばらく置いたら、適当な布か紙の上でカナヅチでトントン叩きます。
ショックを与えることで固着状態を剥がして、緩めるきっかけをつくる作戦です。

何度か繰り返すと、5度・・・10度と徐々に回転の動きが出てきました。




↑すると、徐々に油の内部に赤茶色のサビが染み出てきました。
順調にサビが剥がれてきたようです・・・。





↑何度も繰り返すうちに、こんなに濁ってきました。
ベアリングも、そのうち半回転ほどできるようになってきました。




↑途中で、ビニール袋に入れてシェイクすることもやりました・・・・

そして・・・ようやく、全部回転させることができたんです!!!
            ヽ(・∀・)人(・∀・)ノやった〜♪




↑あとは潤滑剤を十分に吹きつけて、完了としました。


そして何とか問題なく、その日のうちに現場復帰していきました。
それにしても、あの赤茶色は明らかに「赤錆」です。これはやはり「」が原因です!
キャスターは車椅子の中で一番地面近い所にある精密部品ですから、
「水洗い」や「雨の日移動」には非常に弱いんです。


【まとめ】
車椅子は水洗いは厳禁、雨の日の使用も厳禁!!
もし、やむおえず水に浸かったりしたら部品を外して十分に注油しておく必要があります。
丸洗いの必要があったとしても、ビニールでカバーしておくと多少は違うと思います。
本当は、面倒でもパーツを外した上での洗浄をお奨めします。







                                  (介護型リハビリシステム研究所)