その他の環境整備【24】
杖の切り方(木製篇)
今回は簡単そうで、簡単でない??
「杖の切り方」を簡単に紹介したいと思います。
「杖の切り方」なんて、学校では教えてくれません。なんででしょう??
最近では、木の杖自体をあまり見かけなくなってきましたが、
それでも、ボチボチ長さを合わせて「のこぎり」で切るという作業がたまにあります。
杖の長さは、基本的に腰(腸)骨の高さ、肘を30度程屈曲して押さえた高さ、手首の高さ…
などと言われています。
ただ、もし利用者が購入した状態の高い杖のまま、無理やり使い続けていた場合、それに
慣れてしまっていることも考えられるので、施設の調整可能な杖で、理想的高さに合わせ
一度歩いてもらって納得してもらった後に、合意の上で切る・・・というのが大原則です。
「この高さが、一番なんですよ」と言って切って渡しても、長い杖で歩いてきた利用者は
違和感を訴えて「もう少し長くしてください」と言って来ることもあります。
ところが、一端切ってしまった杖は元には戻せません。スペアがあれば別ですが。。。
・・・ですので、基本的には「この高さがぴったり」と思っても1〜2cm程長めにしておく方が
無難と言えます。この「さじ加減」ができる・できないがミソなのです。
【まとめ】
@まず、施設の調整杖を渡してこのくらいの高さになることを納得してもらう。
A長い杖に慣れている方には、気持ち長めにしておく(そのことは説明しておく)。
そこで、杖を切る作業になるわけですが、まず杖から杖先ゴムを外す必要があります。
杖先ゴムの外し方は、「杖先ゴム」と「杖の握り手」をしっかり持って逆に捻って外します。
殆どの杖先ゴムはこれで外れてくれるのですが、中には杖先ゴムと柄が張り付いて固着
している場合があります。この場合、無理して捻ると「握り手」と「柄」のジョイント部分が
外れてしまう事態に見舞われます。
・・・ですので、固着していると思ったら下記の手段で外すことをお奨めします。
【準備するもの】
杖・マジック(又は修正液)・ノコギリetc・・・場合によって、浸透潤滑剤・ミニドライバー・・・
↑固着した杖先ゴムは、このようにゴムと柄の間に細めのドライバーを差し込み、
隙間に
浸透潤滑剤を軽く吹き込みます。これで大方、外れると思いますが・・・それでもダメなら
ドライヤーやホットパック(湿布)保温器などのお湯に浸けるかして、
温めて外して下さい。
↑外した杖先ゴムの中の油を綺麗にふき取り、今度は長さ合わせを行います。
正確に合わせるには、杖先ゴムには「厚み」があるため、その厚み分短かめに目印を
つける必要があります。
※撮影用に修正液で目印をつけていますが、ラインがわかれば何でも良いです。
※紹介用にあとから画像を付け加えたので、最初の画像と杖先ゴムの色が違います・・・
↑あとはノコギリで「ギコギコ」切ります。日本の標準的ノコギリは引く時に切れる
ようになっています。
落ち着いてノコギリを真っ直ぐに立てて、少しずつ切って下さい。
・・・切り終えたら、杖先ゴムを「ぎゅっ!」とはめ込んで出来上がりです。
この位は、タダでやってあげて下さいね。まさかお金を取る人はいないでしょうけど・・・
もし、
ゆるくて外れる場合は柄にビニールテープを数回巻いてはめると良いでしょう。
※そんな簡単なことを・・・と、考える方もいらっしゃるかも知れませんが、以外にできない人が
多いんです。ベテランさんも「常識の範疇」なんて思い込まないで、是非指導して下さい。
(介護型リハビリシステム研究所)