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これにまつわる神話は数々あるので少々困惑致します。 |
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全部は書き切れませんのでそのなかのひとつを紹介することにいたします。 |
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ゼウスの妹デーメーテールは「地の母」とも呼ばれて穀物、野菜、果実、花々、その他 |
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大地から伸びるもののすべて、湧き出る泉なども司っていました。 |
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デーメーテルにはペルセポネーという一人娘がおりました。例によって美少女です。 |
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ある日ペルセポネーは友達のニンフ達と花摘みをしていました。 |
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一つの茎に百もの花が群がる珍しい花を見つけました。 |
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みんなを呼びました。がいつの間にかはぐれていたのです。 |
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一人でその花を折ろうとしたのですが堅くて折れません。 |
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引き抜くことにしました。力を入れると地面にぽっかり穴があいて！ |
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四頭だての金色の馬車が飛び出してきました。 |
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馬車には王冠をいただいた青白く陰気な顔の王が乗っていました。 |
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王はペルセポーネをいきなり抱きかかえ馬車に乗せて地中に消えました。 |
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デーメーテルは突然居なくなった娘を捜し回りました。 |
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そして日の神ヘリオスから娘をさらったのがプルートンであることを突きとめました。 |
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しかしすでにそのときには娘はプルートンの后になっていました。 |
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これを聞いたデーメーテルは絶望のあまりエンナ谷の洞穴に閉じこもり姿を現しません。 |
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そのため、春が来ても草花は芽をふかず、地上の光景は一年中冬枯れでした。 |
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見かねたゼウスは「ペルセポネーが冥界の食物をまだ口にしていなければこの世に |
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戻れる望みがある」と言ってヘルメスを使者にたてました。 |
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ヘルメスは「ペルセポネーを母のもとに帰らせよ」とプルートンを説きました。 |
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ペルセポネーは母のもとに帰りたいと哀願したのでプルートンもそれを聞き入れました。 |
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帰り際に石榴（ザクロ）の実をもいでくるとペルセポネーに手渡しました。 |
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ペルセポネーは何気なく四粒ほどそれを口にしました。 |
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娘が帰ってくるとデーメーテルは洞穴から飛び出して来ました。 |
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たちまち光が溢れて地上は緑に覆われました。......... |
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娘から冥界の石榴の実を口にした話を聞くとデーメーテルは再び絶望しました。 |
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ゼウスにどうにかして欲しいと懇願いたしました。 |
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ゼウスは毎年八ヶ月間は母と暮らし、口にした石榴の四粒分四ヶ月はプルートンと |
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冥界で暮らすようにといいつけました。 |
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このため娘の居ない四ヶ月はデーメーテルは洞穴に閉じこもったきりになります。 |
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地上のすべての植物の営みは停まりこの期間は冬となります。 |
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娘が母のもとに帰ってくる八ヶ月間が春夏秋となり四季の変化がこの世に起こるように |
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なったと伝えられています。 |
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※プルートンはゼウスの弟、ペルセポネーは姪にあたることになりますね。 |
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神々のすることはどうも理解しがたいです。 |
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※デーメーテルが洞穴に隠れるのはアマテラスの岩戸によく似ています。 |
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冥界はイザナギ、イザナミの話とも一致するところがあります。 |
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いろいろ読んでゆくと日本の神話とギリシア神話は同様な話が各所にみられます。 |
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※冬が四ヶ月で春夏秋で八ヶ月というのは日本人にとっては釈然といたしませんが |
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当時のギリシアの気候からできあがったストーリーだと想えます。 |
