CAPRICORNUS(Cap) 磨羯宮 山羊座

 牧神パーンはギリシアのドリュオプス王の娘ドリュオペとヘルメスの間に生まれました。
頭には山羊の角と毛の生えた尖った耳を持ち上半身は毛深い人間下半身は山羊、
足には蹄がありました。
 パーンは山羊のように身軽で山の洞穴に住み夕暮れになると穴から出てきて
仲間のサチュロス達と美しいニンフ達を追い回しているというプレイボーイでした。
 あるとき水のニフ、シュリンクスをみそめ例によってさんざん追い回しました。
シュリンクスは河の岸辺に追いつめられあわやパーンみ捕らわれようとしたとき
河の神に祈りをささげました。シュリンクスの姿はかき消えて岸辺にそよぐ一本の葦に
変わってしまいました。
 パーンは風にそよぐたくさんの葦の中からどれがシュリンクスかわからぬまま一本を
折って葦笛を作りました。それからは葦笛を吹いて羊飼いやニンフ達と歌い踊りました。
 
 神々がナイル川の岸で酒宴を開いているときにもパーンは出かけていって葦笛を
巧みに吹いて皆を楽しませていました。宴たけなわというそのときに突然のうなり声。
酒席に乱入してきたのは悪名高きテュホーン(タイフーン・台風の語源)でした。
 驚いた神々は思い思いのものに姿を変えて逃げ回りました。パーンも魚に姿を変え
ナイル川に飛び込みました。ところがあまりにあわてふためいたためうまく変身できず
水に浸かった部分だけが魚に変わり水の上に出て部分は山羊のままでした。
 
パーンのこんな姿を見てゼウスは大笑いをしました。「これは傑作だ」と言うことで
この出来事を記念してこの愉快な姿を星座にしたと伝えられております。
 
※パーンは非常に寝覚めの悪い神で寝起きはいつも不機嫌でした。
 パニックはパーンのために羊が荒れ狂い、牧者も大いに怖れおののくという話に
その起源を持っています。
※ドビュッシーの「牧神の午後」もこのパーンを描いてます。