ギリシア神話では水瓶を担いでいる少年はトロイの美少年ガニメーデスと伝えています。 |
ガニメーデスはその身体が永遠の美と若さをあらわす金色に輝いていました。 |
ある日、ガニメーデスはいつものように丘の上で羊の番をしていました。 |
俄に空がかき曇り、雷鳴とともに巨大な黒鷲が舞い降りてきました。 |
巨鷲はガニメーデスを鷲掴みにすると空高く舞い上がりました。 |
その様子を見て驚いた父のトロースは、大声をあげて石や木の枝を鷲に向かって |
投げつけました。しかし届くはずがありません。 |
トロースは家に帰り妻とともに悲しみに沈んでいました。 |
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ある日、見慣れない若者が戸口に立ちました。若者はトロースにこう告げました。 |
「ガニメーデスのことは心配に及ばぬ、あの子の美しさをゼウスが愛されて |
黒鷲を使いによこされ、天界に召されたのだ。 |
オリンポスの宮殿では夜ごと酒宴が催され、アポロンが竪琴を奏で女神が舞い、 |
神々はルビー色の神酒を金の盃飲む。 |
その酌の務めはゼウスとヘーラの娘ヘーベの役目であったがヘーベがヘルクレスの妻と |
なられるためこれからはガニメーデスがそれを務める。 |
ガニメーデスはいつまでも死ぬことはないし歳もとらないから心配無用だ」 |
そしてゼウスからの贈り物としてすばらしい神馬をトロースに与えました。 |
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若者はたちまち空へとびあがり鷲の飛び去ったのと同じ方角へ姿を消しました。 |
トロースはその若者が帽子につけていた二枚の羽と蛇がまきついた棒を持っていたことから |
伝令神ヘルメースであることをさとりました。 |