車椅子検証シリーズ「車椅子は語るB」

   
 致命傷車椅子ファイル

      【暴走車椅子、出現か?】
◎このシリーズは、作者の経験と思い込みで構成しています。予め、ご了承下さい。

車椅子の点検・整備を長いこと続けてくると時々、「なんちゅう壊れ方すんじゃ?!」と
驚いてしまうことがあります。

逆にそこを調べると、商品の欠陥や使われ方の特色などが見えてくるのも事実です。
まさに、「壊れた車椅子が語りかけてくる」がごとくです。

今回は、某ホームヘルパーの講習会場で見かけた車椅子の状態をレポートします。


↑ホームヘルパーの講師をすることもたまにあるので、時間があれば車椅子の整備指導を
行っています。お察しの通り、「虫ゴム」を中心にくどい位に話しているのですが、その会場で
怪しい車椅子を見かけました。
よ〜く見て下さい。キャスターがどう見ても変形してます。医学的に言うと、内反しています。
(あ、よく考えたら外反でした。動く時にはキャスターが逆に向きを変えますので・・・)


アップで見て見ましょう・・・・・・

↑こんな感じです。こんな変形は初めてみました。珍しいです。て、ゆーか、あり得ません。
よほどのスピードで段差に「ゴン!!!」と、突っ込まない限りこうはならないでしょう。

よく話を聞くと、講習に来ている生徒さんが屋外で車椅子実習として使用したらしいのです。
お年寄りや障害者を乗せていたら、前方に放り出されたくらいの衝撃があったでしょう・・・
知らないというのは恐ろしいものです。段差は前輪を持ち上げるか、後輪から越えて下さい。

キャスター部分を全部取り替えないと修理は無理だと思われます。
場合によっては新品車椅子を購入した方が早いかも・・・

今回、この車椅子が致命傷に至った原因を考えてみました。

@屋外に出る前に、行うべき担当者の指導が不十分であった
A乗って操作した人、あるいは押した人が、注意力なく腕力のみある人だった。
Bメーカー側の強度の問題(強化プラスチックかも知れないが、以前は金属が使われていた
 場所。ここまで一気にゆがむのも問題。コストを落とすのは良いが強度を落としてはダメ!)。


乗り方、使い方によって車椅子の寿命は大きく変わります。
この車椅子は自らそのことを教えてくれているんですねー。まだ新しいのにかわいそう・・・。



                                     (介護型リハビリシステム研究所)