その他の環境整備【282】
通所リハビリ宣言書
〜これからの通所リハビリの方向性〜
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「介護型リハビリシステム研究所」は介護時代のリハビリを「環境整備」という視点から
研究・紹介していくことが最大の目的です。
管理人の基本的な考え方は
2001年に執筆した論文内容
と全く変わっていません。
今回は当施設の通所利用者・家族向けの会報誌に頼まれて書いた原稿ではありますが、
本当はスタッフ(特にPT・OT・ケアマネ・相談員)に向けて書いたものです。
厚労省に「なんちゃってリハビリ」と指摘されたものは何か?再考すべき時期と考えます。
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「パウダールーム」と「参加と活動」
<ほのぼの新聞 2016年7月号掲載>
少々難しい話題ですが、昨年4月以降、厚生労働省は「長期漫然的な個別リハビリ加算」を終了し「機能訓練は主体化」して、「在宅生活と社会参加活動」を支援する『リハビリ学校』としての役割を通所リハビリに求めてきています。
「体をほぐし、立位や歩行訓練をしてもらう」というのがリハビリのイメージですが、それらは病院で行う受身的な医療型リハビリです。介護保険は今の身体能力(障害や老化)を前提に、体力を維持向上し、生活環境を整え、参加と活動を通じて卒業も視野にする介護型リハビリになります。
「体力の維持・向上」には単純かつ効果的な運動を継続することが大切です。
具体的には午後からご参加いただく体操です。当施設は各々の身体能力により「座れる方は座る、立てる方は立つ、歩ける方は歩く」という方針でグループ分けをして毎日行っています。
単純ですが「自分の体を自分で支える」訓練は日常生活維持(介護負担の軽減)に大変有効です。
また、体をほぐさないと動きがかたくなり、動作が低下して病気や転倒のリスクが高まります。そのため昨年4月から全身の柔軟体操を「若返り体操」と称して皆様にご参加いただいています。
いずれも覚えやすい体操ですので、なるべくご自宅でも毎日行いましょう。体力を維持・向上するコツは「毎日の積み重ね」です。専門家に触ってもらうより、確実・格段に効果が上がります。
「生活環境の改善・指導」は経験豊富な専門家が最も得意とする分野です。
現在の能力で必要な福祉用具やその使い方、在宅の生活手段、ご家族への介助方法、環境チェックや改善指導、靴・杖・装具・歩行車・車いすの相談や使い方、簡単な調整・整備など・・・
多岐にわたります。これらを整えて事故を予防し自立度を高め「参加と活動」を支えます。
この他に約3ヶ月に1度評価を行います。定期的評価は身体・生活面の変化を把握でき、予後を予測できます。専門家は個別に結果を分析して、今後の生活や自主訓練など、リハビリ計画と指導を行います。「変化把握と予後予測」は専門家の大切な役割です。現時点の介護度予想も可能です。
当通所リハビリ(通称デイケア)では「自分でできる」主体的リハビリを支援するため、エルゴメーター(自転車)やトレーニングタワー(多機能訓練台)、視聴覚スペースを設置してきました。
最近ではパウダールームを新たに設置して、整容動作が「自分でできる」よう改善しました。
中でも大変喜ばしいのは昼休みに「トランプや麻雀」の集まりが主体的に生まれてきたことです。
これぞ正しく「参加と活動」であり、ボランティアの各活動と共に後方支援したいと考えています。
Before ⇒ After(パウダールーム・筆者製作)
(介護型リハビリシステム研究所)
【参考資料】●是非、以下をご参照ください。
リハビリテーションマネジメント実践マニュアル
〜システムでよりよい未来へ〜
介護型リハビリシステム研究所