フットレスト整備法・パート1

     
フットプレートの高さ調整編

フットレスト(フットプレート・足乗せ・足板を支える支柱)のケースを紹介しましょう。
フットレストのパイプにフットプレートは固定されているのがほとんどです。
このフットレストの長さを自由に調整できる、ということはご存知でしょうか??
専門家や関係者なら知っていて「当然」だと思っていたのですが、中にはその調整できる
ことすら知らないという驚くべき方々がいることがわかってきたのです。
足の長さは人それぞれ個人差があるので、すわり心地・姿勢・操作などを考えると個々に
調整して当たり前なのですが・・・・・ちなみに調整の目安は以下の通りです↓

フットプレートの高さは床から5cm以上で、
太ももが軽くシートに触れる位置。
シートと太ももの隙間は開きすぎても密着しすぎてもいけません。

 



  ×      ×      〇

・・・この点を踏まえた上で、次の話に向かわせていただきます。
フットレストの長さ(または、フットプレートの高さ)を調整するには、殆どの車椅子はフット
レストパイプの一番下にあるネジを緩める必要があります。

←車椅子を持ち上げて寝かせる

そして、たかさを調整して締め付けて終わり。
・・・・ですが時々この部分、さび付いていて上手く外れない、調整できない事があります。
そうなると、もうパニクって「できない〜!」と諦める人も多いのですが、もう少し粘って
矢印の「注油⇒」というジョイント部分に潤滑油(5-56とかミシン油など)を差してみて下さい。
そのあとで何度かこじってると動くようになるはずです。


●では、最近の故障?ケースを一つ

「足乗せボルトを締めても直ぐ落ちてしまう。修理して下さい。故障です。」と言われました。
???部品でも外れたかな???と思いつつ、部品をみて「ぴん」ときました。

←いやにさび付いてますねー

部品に問題はありません。そうです。錆(サビ)が原因だったのです。
ではなぜ、この部分がさび付くと固定できなくなるのでしょうか?????

←拡大したところ

この拡大写真部分が、このフットレストの長さ調整の要(かなめ)となっているのです。
ボルトをネジ込むことで斜めの亀裂部分のズレが広がり抵抗が増して脱落しないように
なっているのです。すごいですねー。このお陰で長さが自由に微調整できるんです。
ただ、そこまでしなくても調整杖みたいに穴でパチパチ調整できる方が楽なんですが…

・・・で、本題に戻しますとここがさび付いててズレなかったために固定できなかった、
というわけなんですねー。
潤滑剤を吹き付けて、しっかりねじ込んだらバッチリ固定できました(何てことない)。




●ついでに申し上げますと・・・

最近、
「新しい車椅子を買ったらすぐに足乗せが下がってきて困る。不良品じゃないの?」
と、持って来る人が多いのですが、そのようなケースの殆どは箱に入れられて配送
してもらい、自分らで取り出して調整せずに使っている方や施設が多いようです。

箱に梱包してある車椅子はコンパクトに収納する目的で、フットレストのネジは最初
から甘めにしてあるようです。ですから、取り出したら空気圧のチェックをすると同時に
フットレストのネジの調整もする必要があるのです。
中には大車輪のネジまで緩いという車椅子もあるようなので、本当は購入した業者に
しっかりと組み立てて調整して貰うのが一番でしょう。




                               (介護型リハビリシステム研究所)




【編集後記】

 『フットプレートと床の距離

最近(2006年現在)の車椅子取り扱い説明書には「7cm」と表記されているものがあります。
時代背景やメーカー、車種により違いがありますので、添えつけ説明書に必ず従いましょう。