その他の環境整備【62】
支柱付装具の「あぶみ」
・・・久しぶりの「足装具整備特集」です。
ちょっと専門的な領域かも知れませんが、知っていて損はない(?)シリーズです。
(実際、この特集を専門家が興味を持って見ているそうです。)
・・・ですが、これらはあくまで経験上の自己流なので100%信頼しない方がいいかも・・・と言っておきます。(;´д`)ゞ
今回は支柱付き装具について特集します。
支柱付き装具というのは頑丈ですので、麻痺が強い方によく作られます。
↑麻痺が強い方の「足」や「膝」などのコントロールをしっかりと行う自助具ですので、
装具にかかるストレスもかなりのものです。使い込むほどガタが出やすくなります。
単純な装具に見えても、事故を起こさないためには定期的な調整が必要なのです。
角度の調整方法については
以前特集していますので、そちらを参照下さい。
そこの特集で「あぶみ」というのが、この装具の一番大事な部分と書きましたが、
今回は、その「あぶみ」の全体像をご覧いただきたいと思います。
画像を見れば、その重要さを「一目瞭然」で理解してもらえると考えています。
・・・それでは、本題に入ります。
リハビリの訓練が終って職員が「これ・・・何とかなりませんか?」と
支柱付短下肢装具を持ってきました。
見ると、靴底の部分が「ペロン」と1/3位剥げています。
どうせならこの際、スタッフに「あぶみ」というものを見せてあげようと、
「ベリベリ〜ッ!!」と剥ぎ取りました。
↑靴底を剥ぎ取るとこのような金属が見えてきます。これこそが「あぶみ」です。
うちのOT(作業療法士)は専門が違うので「あぶみ」の存在すら知りませんでした。
・・・・でも、PT(理学療法士)だって知らない人は知らない「かも」知れません。
おそらく「知ってはいるけど、全体を見たことはない」という人が多いと思います。
「聞いたこともない」という人は・・・・
きっと忘れたのでしょう。学校では習っていますので。(;´▽`A``
この「あぶみ」・・・
装具の『中心』、『要(かなめ)』、『土台』、『基礎』と言っても
過言ではありません。
↑矢印のようにジョイント(継手)部分から足底を回り、反対側のジョイント部分まで、
実は一枚の厚い金属の板からできているんです。
ここで「ほ〜!!」と感心しててもらえると嬉しいんですが・・・
ここの金属がしっかりと足首を支え、膝を支えているんです。
逆に、ここの部分が歪むと調整が必要になり、金属疲労を起こすと交換になります。
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●突然ですが【なぜだろう?なぜかしら?】のコーナーです。 (*^▽^*)ゞ 何だか久しぶり・・・
なぜ、この金属部分を「あぶみ」と言うのでしょうか?
あぶみとは漢字で「鐙」と書きます。
馬の鞍に付いている金属部分で足を乗せる部分です。
鞍の両側より吊るして足の裏を支える役割をしています。その形状とそっくりですよね?
詳しく調べたわけではありませんが、そこからきていると思われます。
三省堂:大辞林には・・・「足踏み」の意。馬具の一つ。鞍の両側から馬の脇腹に垂らし、
乗り手が足を踏みかけるもの・・・と載っています。
読みは「足踏み」→「あぶみ」となったんですね。
「鐙」(金へんに登る)と書くのは、馬に登る金具というところからきたのでしょう。(b^ー゜)
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↑隠れた場所にいる、「縁の下の力持ち」であるこの「アブミ」。
ここのガタや歪みを気遣うか否かで、その道のプロであるかないかが分かります。
矢印の90度曲げてある部分が金属疲労を起こして割れることがあるんです。
装飾用の革で覆ってあるので気づかないことが多いんですねー。
・・・・では、剥がした靴底を貼り付けましょう。
↑貼り付けるにはボンドを使います。ボンドと言っても木工用は×です。
これは「皮革・布・合成ゴム・硬質プラスチック」用の合成ゴム系接着剤です。
(通常は黄色いボンドを使っていますが、今回は透明ボンドを使っています。)
↑貼り付けようとする両方の面に均一に塗ります。
塗った後は指にべたつかない程度になってから互いをしっかりと貼り合わせます。
↑仕上げにゴムハンマーや木槌などで叩くとよいでしょう。
やってて何となく専門っぽいです。
ここでは手元に鉄ハンマーしかなかったのでそれをソフトに使ってます。
このような装具の靴底は踵から剥がれやすいので、剥げてきたらボンドで補修する
必要があります。全体が磨り減ってきたら、装具屋さん(または靴屋さん)に頼んで
張り替えてもらいましょう。プロのやる仕事ですので綺麗に仕上がってきます。
ちなみに、装具屋さんから最近得た情報(平成19年6月現在)ですが、
このような
支柱型装具は3年、プラスチックの装具は1年半〜2年が耐用年数で
その時期を過ぎていれば、保険または身障者手帳で新調できるそうです。
詳しくは「かかりつけの病院」にてご相談下さい。
「かかりつけの病院」がない場合は、「整形外科」のある病院または「リハビリ科」の
ある病院でしたら装具屋さんも出入りしていると思いますので相談にのってもらえると
思います。手帳でつくる場合は、行政の窓口(または電話)に問い合わせて下さい。
(介護型リハビリシステム研究所)