「ブレーキ」整備法 パート14

   ずれるブレーキの解決法・その2

先日、現場でブレーキが効かない車椅子を発見した時のケースを紹介します。

空気はしっかり入っているのですが、ブレーキがきちんとかかりません。
押すとずるずる動いてしまうような状態・・・

ブレーキそのものには何ら問題はなさそうです。

前回の「その1」をご覧になられた方なら、ひょっとして・・・と思うかも知れません。

整備には、この「ひょっとして・・・?!」が大切なんです。

見聞したり体験していくことで、自分の経験値を徐々に高まると、色々と応用できたり
対応が早くなってくると思います。同時に失敗も少なくなってきます。


そうです!

今回も原因は「大車輪ボルトのガタ」にありました。




↑車椅子を後ろ倒しにして下から覗いた様子。
今回の車椅子には金属製の円筒状の枠(ホルダー)が固定されていました。
これは酸素吸入が必要な方に、酸素ボンベを乗せたまま移動するための物です。




↑その酸素タンクホルダーが、大車輪のボルトと一緒に固定してあったのです。

当初の固定が甘かったのか、使っているうちに徐々にガタがきてしまったのか・・・
原因は定かではありませんが、既に指で簡単に回せるくらいにまで緩んでいました。

このままだとボルトが抜け落ちて、ボルトを紛失したり・・・
最悪、大車輪そのものが外れて事故を起こす可能性もあります。・・・そこで・・・


早速、ネジを締める作業に取り掛かります。
          (車椅子整備は後回しにしないのが原則です。)




↑外側のネジを共回りしないように固定して・・・




↑内側からしっかりと締め付けます。
締め付けた後はスムーズに大車輪が回転するかどうか確かめて整備終了です。




↑回転が不十分な場合や、異音がする場合は、ネジの締め具合を調節するか、
可動部に注油して様子をみましょう。回転部の清掃が必要になる場合もあります。


整備終了後は、ブレーキもきちんとかかるようになり、無事に現場復帰となりました。



             ●●●おまけ●●●

【大車輪のガタチェックのポイント】



↑ブレーキを外して、検査する側の大車輪を軽く持ち上げて、
ハンドリムを握って揺らしてみてください。
根元(中心部)を中心に「ガタガタ」するようなら、ネジが緩んでいる可能性が「大」です。



「付属品の付いている車椅子」は固定部分に要注意です。




                                     (介護型リハビリシステム研究所)