ラップの芯とブレーキ
   (ラップの芯はブレーキの強い味方!)


今回は「ラップの芯に介護の現場を助けてもらう」という話です。
またバカなことを言い出して・・・・・・と、思う方もいらっしゃるかも知れませんが、
既に介護の現場では実績を積んできている常套手段なのです。
「あ〜コレ、うちでもやってる!」とか・・・「見たことある〜」という方も多いと思います。

「ラップの芯」に、ブレーキ操作の補助をしてもらうという今回の特集で
必要な物は・・・・と言いますと、

・・・・そうです。ラップの芯です!!




↑業務用のラップの芯です。厨房で貰ってきました。
それを色紙でカラフルにして視認性を高めました。
普段は棒体操やゲームなどに使っています。




↑これを必要に応じて車椅子に使っているんです。
どのようにしているか?と言いますと・・・。




↑何のことはない、ただブレーキの柄の部分にスポンとかぶせるだけ。
たったコレだけ。たったコレだけが介護現場を大きく変えることがあるんです。


ここまで大きなサイズはあまり見かけませんが、普通サイズならば気をつけて
観察していると、使っている車椅子を他の施設・病院でも見かけると思います。



上の画像はブレーキをかけた状態です。このブレーキを外すと・・・・↓




↑ここまで前に張り出します。

このように、虫の触覚といいますか、動物の角といいますか・・・
けっこう目立つ車椅子に変身するのです。
意外と格好いいでしょ?? (^◇^ ;)  

では、なぜこんなことをする必要があるのでしょうか????


まず、腕の力が弱った方がブレーキの操作をし易くできるというメリットがあります。
いわゆる「テコの原理」ですね。支点・力点・作用点と学校で習ったと思います。

次に
車両感覚をつかみやすいように、

他の利用者にぶつからないように
他の利用者がぶつかってこないように
狭い通路に入って手をケガしたりしない ように  ・・・という目的。

他には、片麻痺などで麻痺側のブレーキに健手が届かない場合にも使えます。


・・・この他に介護現場でかなり使える目的があるのです。


・・・その目的とは「転倒防止」と大きな関わりがあります。


理由を車椅子に乗っている方の目線で考えて見ましょう。




↑デジカメが広角レンズではないので、
おおよその目線が上の画像だと思ってください。
ここに例のラップの芯を左右にスポンと入れるだけで・・・・


何ということでしょう!!
        
   (ビフォー・アフターの解説調で)

     w(゜o゜)w 




↑このような物が目の前に出現しました。


これは・・・嫌でも目に入ります。 (・_・;) 

つまり嫌でも目に入れる必要のある方に使うのです。


ここまで書けば理解して貰えると思いますが、

ブレーキのかけ忘れをする方に使います。

            (^o^)丿))

注意力が低下している方は、ブレーキをかけることを忘れて立ち上がったり腰掛けたり
してしまいます。実はそれが転倒事故を引き起こす原因でもあるのです。
「ひやり・はっと」の報告でも結構多く出てくるブレーキのかけ忘れ・・・。
マンパワーが不足している介護現場では、注意力の低下している方の車椅子を
常に 監視できないという事情があります。

そこで、

 ラップの芯で視覚的に訴えることで
 ブレーキをかけることを意識させる

                                 
・・・というわけです。

利用者の注意力低下の程度にもよりますが、現場では確実に効果をあげています。


 たかが「ラップの芯」、されど「ラップの芯」

ホームセンターのカーテン売り場、ビニールクロス売り場にもそれらを巻いていた芯が
出ることもあります。それらは長いので、適当な長さにノコギリで切って使いましょう。



  【注意点】

利点の1つに、テコの原理でブレーキに力を加えやすくなると書きましたが、
逆に
無理な力が加わると、ブレーキそのものを歪めたり壊したりすることになります。
理解力低下がある方や、壊れやすいプラスチック製ブレーキなど、利用者や車椅子の
タイプに十分配慮する必要があるでしょう。





↑実際に現場で使用している様子・・・・・・


拡大すると・・・
    



↑・・・・・実際にブレーキが支柱(内側のプレート)ごと外側に歪んでいます・・・・
極端に歪むとタイヤとの接触面が少なくなり、ブレーキ性能も低下してしまいます。




※「かいごの学校」で今月号(3月号)から、6回シリーズの「車椅子整備」連載を
 始めました。良かったら見て下さい。  今回は見開きカラーになっています。


                        (介護型リハビリシステム研究所)