車椅子検証シリーズ「車椅子は語るF」

   
 致命傷車椅子ファイル

     【リクライニングワイヤー破損】
 ◎このシリーズは、作者の経験と思い込みで構成しています。予め、ご了承下さい。

車椅子の点検・整備を長いこと続けてくると時々、「なんちゅう壊れ方すんじゃ?!」と
驚いてしまうことがあります。

逆にそこを調べると、商品の欠陥や使われ方の特色などが見えてくるのも事実です。
まさに、「壊れた車椅子が語りかけてくる」がごとくです。

先日、リクライニングワイヤーを交換したばかりなのに別の車椅子がやってきました。
しかも症状が全く同じ・・・ ( ̄▽ ̄;ゞ でじゃぶー?!
ここで画像を紹介しても、画像を反転させて使っていると疑われても仕方ない・・・
そのくらい良く似たケースです。
やはり、車椅子が傷む時は一気に来るんですねぇ。。。
それとも構造上の問題があるのでしょうか??

年度末には新しい車椅子を事務に申請しないといけないなぁ・・・と思いつつ、
原因を探りつつ修理に取り掛かりました。


 

↑今回修理を依頼されたのは上の車椅子。  前回修理したのは右の車椅子。↑
肘掛け部分が違います。左の肘掛けはテーブルに入るようにカットしてあるタイプです。




↑今回の車椅子は右側のワイヤーが、前回同様に根元から切断されていました。
この部品はもう一本だけ残っていましたので、それを使います。
(次に、同じような故障が出たら・・・、部品がないので部品車となるでしょう。)




↑前回同様、「バッサリ」いってます。本当に鎌イタチがいるのかも知れません・・・。




↑今回は、途中の結束帯部分もビニール表皮が剥がれていました。
やはり、数え切れないくらい背もたれを上げ下げするとこうなるんですね・・・。
ひよっとしたら、この位置の結束帯はストレス(ワイヤーへの負担)の原因になっている
かも知れません。施設での使用状況はかなり激しい(厳しい)ですから。。




↑今回も、その結束帯はリサイクル目的で上手いこと外しました。
安いものなので買えばいいんですけど・・・。 (;^_^A 100円ショップにもあります。




↑上がスペアワイヤー、下が切断されたワイヤー。ストレスであちこち折れています。。




↑切断されたワイヤーを抜いてみると・・・、ビニール表皮が剥がれた部分から下に
サビがきているのがわかります。
おそらく水をかけて洗った為に水が入り込んで、サビを発生させワイヤーの強度を
下げたのも一因と思われます。





↑加えて、屈折部分の抵抗で徐々にワイヤーがちぎれていったと考えられます。
ビニール表皮の剥がれた屈折部分を見てください。らせん状に金属が入っています。
ここが屈折すると、らせん金属の角とワイヤーが互いに干渉し合うというわけです。


           【今回のポイント】 (b^ー゜)

お手元の車椅子でワイヤーが妙に屈折している部分等があったら、
なるべくストレスがかからないように修正しておくことをお勧めします。

 
 (気になるようでしたら車椅子屋さんか、自転車屋さんに相談しましょう。)




↑今回も即日で現場に復帰してもらいました。
引退の時期は迫っています。そろそろ次の準備をしなくてはいけません。。


メーカーにはリクライニング操作を繰り返しても、ワイヤーになるべく負担のかからない
ような設計でつくってもらいたいと思います。




                             (介護型リハビリシステム研究所)