「ブレーキ」整備法 パート9

      調整限界のブレーキ調整法

今回、取り上げる車椅子はかなり古いタイプです。
車椅子を10年以上使っている・・・という施設にとっては参考になるかもしれませんが、
新しい車椅子を常に補充してもらっている施設には不要な知識かもしれません。




↑今回の車椅子のブレーキタイプはこちら・・・
金属でできているのでブレーキそのものは比較的丈夫です。
この車椅子の欠点は、調整幅に限界があり、写真の矢印方向にずらそうとしても
ここまでが構造上の限界で、これ以上ズラすことができません。

この画像のように、ブレーキをかけても軽くタイヤに当たってるだけ・・・という状態なのです。
新品タイヤで山があるうちは何とか制止してくれますが、山がなくなるとブレーキが殆ど効かなく
なってしまいます。
通常は諦めて甘いブレーキのまま使い続けるか、ブレーキそのものを交換するか、
思い切って処分するしかないでしょう。




↑まずは、+プラスドライバーとペンチを使ってブレーキそのものを取り外します。




↑この楕円状の部分が調整幅です。
このブレーキは片側の穴を、もう少し延長すれば何とかなりそうなので
矢印(削りたい)部分にブルーのマジックでマーキングしました。




↑その後、万力で固定して、ドリルで「ぐい〜ん!グリグリ〜!!」と穴を広げていきます。




↑反対側も同様の症状だったので同じように穴を拡げて調整します。
(反対側はプラスドライバーと六角レンチを使って、取り外し・取り付けを行いました。
締め付けを強くやりすぎると、ネジ山をなめてしまい、ネジそのものをダメにしてしまいますので
十分に気をつけましょう。)




↑調整後の状態。タイヤにブレーキが食い込んでいるのがわかりますでしょうか??
片方の穴をたった3〜4mm程度削っただけで、全然違う効き具合に変化します。

だいぶくたびれてはいますが、もう少し現場で働いてもらうことにしましょう。。
この後、いつものように元の現場へと復帰していきました・・・。
(おそらく、次に何かあったら部品車でしょう・・・たぶん。。。)


ドリルを使う際はケガには気をつけましょう。
しっかりした固定台がないと今回のような作業は大変危険です。






                                  (介護型リハビリシステム研究所)