「車椅子体重計」整備法

   体重が一定に出ない車椅子体重計

最近コラム系が多くて疲れ気味でしたが、ようやく画像・整備系の話題が出てきました。
ここのところ、「栄養ケア・マネジメント」というのが介護保険で必要になってきたこともあって、
毎月正確に体重を測定しなくてはいけなくなってきています。
ところが、体重計の測定結果に「ばらつき」がある・・・どうもおかしい・・・故障じゃないか??
・・・ということになってきました。
スタッフが「新しいのを買ってもらおう!」「でも予算が無い。」などと騒いでいたので、つい・・・
「見てみましょうか?」と言ってしまいました・・・(;´д⊂)
購入費云々より、まだ使えるかもしれない機器が処分されることを無視できなかったからです。
車椅子用体重計は20万以上するので、上手くいけばこれだけで相当な仕事量になります。



↑最近はどこの施設でも見かける「車椅子用体重計」。
車椅子に乗ったまま体重が計れるという、昔はありそうでなかった機械です。
これが登場する前は、体重計2個にそれぞれ板を敷いて、その上に車椅子ごと乗せて
量っていました。両方同時に目盛りを見るのが大変だったんですよね〜。




↑以前から気になっていたんですが、妙にガタガタします。
紐とかガムテープなんかがグルグルと巻きつけてありますし、何かありそうです。。




↑よく見ると、片方の車輪を止めている金具が今にも抜けそうです!




↑反対側は・・・というと、既にネジは脱落して無くなっていました。。。 (=_=)。
ガタガタで今にも外れそうなのを紐でぐるぐる巻きにして何とか使っていた・・・ようです。。
・・・まぁ、このくらいで驚いていては施設の備品の修理なんかできません。 (-_\)
これはあくまで移動用の台車なので、計測用の本体をみることにしましょう・・・。




↑このようにして計測します。実際にはここに利用者が乗った状態で計測するのです。




↑まず、気がついたのは台のガタツキ。これには土台のゴムを回転させてガタツキのないよう
なるべく平行にする必要があります(力学上、平行というのが意外に大切なのです)。




↑台の端にこのように平行であることを計るための簡易計測器があります。
これは、洗濯機とかストーブにもついていることがあります。
中央の白いプラスチックが、下の赤い丸内に収まるように調整してください。




↑次に本体中央の鉄板を取り外します。ネジ4本で簡単に外れます。




↑すると中央に、このような単純な鉄のやぐらみたいなものが出てきます。




↑中央にはアルミをくりぬいた中に、白いプラスチックみたいなのが入っています。
どうも、このアルミの歪みを電気的に計測するための装置みたいです。
・・・つまり、ここが高価な体重計の「心臓部」ってことですね。




↑一応、矢印で力のかかる方向を示しておきます(おわかりいただけますでしょうか?)。
※左右の金(胴?)色の金属を中央のアルミで繋げている仕組みなのです。
左側が車椅子ごと載せるプレートを支える部分。右側が床の支持面部分につながります。
ちなみに、この量り(体重計)の名称は「電気抵抗線式はかり」と書いてありました。




↑センサー部分はいじれないので、周囲のボルト・ネジをきちんと締め付ける作業を行います。
ガタガタと運んでいたのと、ネジに弛み止めがついていない為に、殆どのネジが「ゆるゆる」でした。
ネジが弛んでいると、力のかかり具合が変わったりして誤差の原因になります。

あとは、細かい脱落したネジもきちんと取りつけて本体の整備を終了しました。





↑次は台車部分の整備です。今にも抜けそうだったネジは既に中央のネジ山が無くなり、
奥まで入らずネジとして使うことができません。
おそらく誰かが、長めのボルトを用意したのはいいけど全部入らず、そのままにしたのでしょう。




↑何とか、ねじ山の合うネジを見つけましたが、これもやや長い為、ナットを1つかませて
固定することにしました。弛み止めのリングも用意します。




↑このように両側とも、キッチリと締めこんでしっかりと仕上げました。
ガタつきも無くなり「スッキリ」です。紐とガムテープも取り除きます。
各所の細かいネジも弛んでいましたので、同時に締め付けます。




↑鉄板の歪みはペンチで、適当に修正しておきます。




↑以上で整備終了です。久々にスッキリと綺麗に仕上がりました。

            ヽ(・∀・)人(・∀・)ノやった〜♪

・・・でも・・・なんかスッキリしません。
誤差が5〜6kgもあるケースに対しての、その決定的原因がわからなかったからです。

しかし、ついに発見しました!!

       (それにしても、今回の特集も長いです。既に疲れてきました・・・)




↑通常はこの位置まで車椅子を入れます。ですが・・・・・


  
                                           【拡大図】
↑このラインにタイヤがかかっていたらどうなるでしょう??
これだけで、5〜6kg位簡単に体重が軽く計測されてしまうのです。

あとは、リサーチをした結果、足を中央の板におろしていて・・・というケースもあるようです。


少なくともこの置き場所の問題・・・見過ごせません!

栄養ケアマネジメントで体重の変動率が3%を越えると、低リスクではなくなり書くべき書類も
かなり増えてしまうのです。無駄な業務を増やすだけになってしまいます。

・・・かと言って、単なる指導だけでは誰かが同じ失敗をする可能性は否めません。
ここは、介護型リハビリシステム研究所らしく、システムで対処することにします。

やることは至って簡単です。マーキングすればよいのです。




↑このようにテープか、ペンキでマーキングします。
・・・でも、これだけでは意味がわからない人もいる(?)でしょう。




↑ここまでやることをお奨めします。テプラを使えば、しばらくは持つでしょう。




↑このようにして後輪をきっちり合わせて計測する・・・というわけです。

※整備後は整備した日をテプラにて記載し、目立つところに貼っておきました(記録は大切です)。


【まとめ】
体重の正確で定期的な計測は、医療や介護を行うにおいてかなり重要です。
計測器はネジの増し締め等、きちんと定期的に整備・管理をする必要があります。
計測する位置もなるべく一定であることを心がけましょう。
管理者(担当者)を決めて管理していくことをお奨めします。







                                  (介護型リハビリシステム研究所)

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