その他の環境整備【34】

   折り畳み杖の調整法

 折り畳み杖というのは、常時杖の必要な方は使わない方が無難です。
 傘のように、外出時に「必要かも知れない」・・・といったケース等では
 便利ですが、常時使用する場合はコンパクトにする必要がないからです。

 それどころか、普段使わない機能があるばかりに、繋ぎ部分のゴムが
 徐々に緩んできて、ある日突然事故に繋がる可能性も否めないのです。




↑今回の折り畳み杖は、このように3箇所で折り畳みができるタイプです。
これを使っていた利用者が評価時に、ジョイント部分を確認して立ち上がっていたので、
気になって触らせてもらうと、ジョイントにそれなりの「ガタつき」が発生していました。
利用者はその「ガタつき」が不安で、立ち上がる度に必ず確認していたようです。

以前にも紹介しましたが、この中には自転車の荷台に巻く様な「ゴム紐」が入っています。
ゴムの張力(引っ張り合う力)が、本来バラバラの杖を一本に固定しているんです。
ここのゴムは、常に張力がかかっていますし、経年変化も併さって徐々に緩んできます。
杖のゴムが緩む・・・ということは、杖にガタつきを発生させ、固定自体も怪しくなってくるのです。
パンツのゴム緩みでしたら笑い事で済まされますが、杖の場合は事故に直結します。危険です。

ただ、この場合「危険だから!」という理由だけで、その場で勝手に取り上げるのも問題です。
一応、事情を説明してとりあえずの応急処置をしてお返しすることにしました。




↑このタイプの杖は、握り手の側に調整機構(ポッチ)がついていました。
そこを「すぽん」と外す(抜く)と、その先にこのようなゴムを引っ掛けた部分が見つかります。




↑そこから引っ張り出して、適当な張力になったらそこを「ぎゅっ!」と縛って元に戻します。
今回はこのまま(ゴムが出っ張ったまま)で杖に戻せましたが、もし途中でカットする必要がある
場合は、万一ほどけることのないように針金で縛るとか、別な安全策をとる必要があるでしょう。

この後、ガタつきを軽減してお返しすることができましたが、なるべく早めに普通の一本杖を購入
するようにお奨めしました。
それにしても、構造を知れば知るほど、常時体を支える杖としては疑問の残る杖です・・・。
どちらかというと「危惧なる器具」で紹介した方が良かったような・・・そんな気もしてきました。


折り畳み杖は、杖無しでもある程度歩ける方が旅行時などに、補助目的に携行していくもの・・・と
割り切って考えた方が良さそうです。←それでも経年変化による張力低下には気をつけましょう。





                                    (介護型リハビリシステム研究所)

 ←何と?!
白いプラスチックの
細い棒だけでゴムを
固定しています。