「操作・整備上の安全対策」

    介護者に多いケガの発生箇所



最近、色々整備してきた中でようやく「良いタイプ(?)」の車椅子を購入してもらいました。

肘掛けが持ち上げ式で、足乗せ部分もスイングアウトといって外開きになるタイプです。
ただ、相変わらず随所にプラスチック部品が多いです。
最近の車椅子コスト削減傾向の中で仕方ないことなのかも知れませんが・・・・
国内メーカーのシールが貼ってありましたが、フレームの隅には「上海有限公司」と小さく
貼ってありました。
メーカーといえど、よほどのオーダー品でない限り、輸入品が増えてきているようです。
車椅子に限らず、Made in japan は本当に数少なくなってきています。



↑ 納入されたばかりの新品車椅子。
このように、肘掛けが跳ね上げ式で、全部脱着することも可能です。
移乗動作が楽になるだけではなく清掃にも便利です。
(※ただ、肘掛けを元に戻しても自動にロックされない為、気をつける必要があります。)
足乗せ部分(レッグサポート)もご覧のように、外開きになり全部脱着も可能にできています。
(※足乗せは「勢いよく」戻すと、自動にロックできますが・・・そこで事故がおこりました。)

・・・・この新しい車椅子を、職員にデモンストレーションをしている最中に、
足乗せ部分を元に戻そうとした瞬間に、突然その「事故」が起こったんです!




↑このように片手をそえて一気に戻したところ、「バチン!!」と小指を挟んでしまったのです。
(ロック解除部分に手をかけそ〜っと戻す手もありますが、やり辛い上に普段はそこまでしません。)




↑結果はこの通り。「血豆」がばっちりできてしまいました。結構、痛いですよ〜。
100回やって100回とも、安全に使用できないと危険だと思うんですが、
(100回?!と思うかも知れませんが、1日3〜4回で1ヵ月あれば直ぐ100回になります。)
たった1回デモをやってこれですから、多少なりとも・・・いや、かなり不安が残ります。

 車椅子は利用者だけでなく、介護者も使うんです。

双方に安全でなければ意味がありません。
介護時代となった現在は尚更です。

この他、よく聞くのが畳んである車椅子を開く際に、「シートの端で指を挟む」ケガです。

先ほどの肘掛け部分も勢いよく元に戻して、そこに指があったりすると大変危険です。


この様な挟み事故って、やっぱり使う側が100%悪いんでしょうかねぇ〜???
「不注意」と片付けられても医療・介護の現場では、その他に注意しなきゃいけないケース
って山ほどあるわけで、「可動する部分」の安全確保ってのは重要だと思うんですが。。。
常時手袋をしていれば安全でしょうが、日常で操作する場合は基本的に「素手」ですから。

たかが介護者のケガなんて・・・と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、
介護者のケガは、介護をする側・受ける側にとっても大変不利な状況を生み出します。


そこで、研究所は提案します!血豆が痛いうちに!

1度あったことは、2度、3度あるはずです。野放しにはできません。
こうなったら、ユーザー側から変えていきましょう!



↑まず、テプラって言う便利な道具で「指はさみ注意!」シールを4枚印刷しました。
これを、「血豆」をつくったスイングアウト固定部分、左右に貼り付けます。
※まるで、元からあったみたいですが、わざわざシールをつくって貼り付けたんです。




↑シート端のフレーム部分にも左右に貼り付けました(本当は赤いシールが良いと思います)。
※よく挟む箇所であるに関わらず、警告表示してないのはどうしてなのでしょうか?????


確か、「製造物責任法」ってのができたはずなんですが、仮に説明書に載せていたとしても、
その箇所に警告表示はしてないんですねぇ〜。企業体質というか、事務的というか。。。
これって、エレベーターや電車ドアの「挟み込み注意!」表示と同じだと思うんですが。
普通は業者の仕事ですよねぇー? (;´д`) 販売所レベルのサービスでも可能だと思いませんか?
ここら辺から、国内メーカーの繊細さ、優しさを見せて欲しい!と、願わずにはいられません。 
無理難題でも何でもなく、いくらの手間もコストもかからないじゃないですか!!ρ(`O´*) 


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◎ミニ知識「製造物責任法(PL法)の判断について・・・」

様々な情報を総合的に考慮して、その製造物が通常有すべき安全性を欠いていたかどうか
によって判断します。
事故などの危険について警告表示・取扱説明書に適切に示されていたかどうか、使い方は
通常予見される範囲内であったかどうか、使用者の方でも事故を防止できなかったかどうか
など総合的に勘案して、「欠陥」があったかどうか判断するそうです。
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 ※事故は製作販売所ではなく、現場で起きているんです!


現時点で、警告表示のある親切な車椅子を見かけたことは全くありませんが、
今回の「血豆」事件をきっかけに、メーカーに警告表示が波及していくことを願っています。

(「皆様の安全を願って…」の宣伝文句が、シール貼るだけで格好つくんですから安いもんでしょ?)


                    ネット公開日:2005.5.31 (介護型リハビリシステム研究所)

車椅子気ままコラム・・・第4回