東北支部の活動
岩手県内における並行在来線経営計画に対する
利用者会議からの提案及び質問と、
それに対する岩手県並行在来線対策室からの回答
東北支部の歴史
支部長 発足時 梅野善雄(97年)、松本誠司(98年)、鈴木一夫(99年〜)
1997年4月1日の全国鉄道利用者会議発足時にそれまであった市民団体「通勤電車を考える岩手県民の会」を発展解消させるかたちで東北支部が発足。一時期仙台の701系対策協議会(松本誠司代表)に支部を置くものの99年より盛岡に支部を置いた。
JR東日本が93年から導入した701系通勤型電車の運用面安全面での問題提起が全国鉄道利用者会議発足のきっかけにもなっている。97年以前の地域活動は盛岡での市民フォーラム実施(95年2月)、沿線市町村議会請願(6市町村で採択)、資料の配布である。
特徴として、20代の青年を中心とした鉄道愛好者が運動をゼロから構築した市民運動ということである。
情報の全国発信の目的で全国鉄道利用者会議に参加。運輸政務次官への陳情やJR東日本本社への改善要請、地球温暖化防止京都会議への市民フォーラム参加し、現状を全国に情報発信できたことが大きい。
最近では、東北線並行在来線における使用車両が701系電車の購入・運行を決定しあらたなる活動を起こさなくてはならない。
また、会員個人でホームページを作成するなど個人的にも活動は活発である。
1997年4月 全国鉄道利用者会議参加
1997年5月3〜5日 [南部縦貫鉄道七戸駅で交通意識調査実施]
青森県南部縦貫鉄道休止に伴い、七戸駅等において交通問題に関する意識調査を行う。
交通意識をアンケート形式で問うミニレターを作成し、約100枚を配布した。1997年5月20日 [交通権学会誌に論文発表]
交通権学会誌「交通権」第15号に、利用者会議の事務局長(通勤電車を考える岩手県民の会代表)が 論文「東北を走る701系電車の現状と問題点」を発表した。1997年6月 運輸政務次官701系電車改善要請
1997年10月3日 [701系電車に関して公正取引委員会に申し立て]
JR東日本の701系ロングシート電車の導入経緯は、独占禁止法に違反するので はないかと考え、公正取引委員会東北事務所に書面で申立てを行った。
しかし、同年12月に「違反の事実はないので処置は取らない」旨の回答があった。1997年11月21日 [JR東日本本社に701系の運用改善を要請]
JR東日本本社の万代輸送課長と面会し、東北地区の701系電車の運用改善を求 める要請を行った。1997年 12月 地球温暖化防止京都会議企画参加
1998年7月25日 [東北支部主催で東北線活性化シンポジウムを主催]
東北支部主催で、稲葉暉一戸町長(岩手県二戸郡)を来賓に招き、岩手県立国 際交流プラザ(盛岡)において「東北線活性化策」を話し合うシンポジウムを開催した。
その内容は翌日の岩手日報でも報道された。1998年8月18〜19日 [奥羽線の701系に関する現地調査]
奥羽線(大館・弘前間)における701系の長距離旅行者の利用状況、および青 森駅において臨時急行「八甲田」の利用状況に関する現地聞き取り調査を行っ た。1998年10月10日[一戸町長にSLの復元運転に関する調査報告書を提出]
東北支部主催で行われた「東北線活性化シンポジウム」に来賓として出席した
一戸町長は、一戸町の振興のためにSLの復元運転を真剣に考慮中である。全国鉄道利用者会議として、そのことの可能性や具体案について検討した報告書を町長宛に提出した。1999年6月 市民政調ミヤギ(主催桜井充参議院議員)企画「都市交通を考える」にコメンテーターとして参加。
701系の運用問題と総合交通体系および着席率向上の施策提起。2000年2月 東北支部事務局会議(5名参加)。東北線並行在来線使用者車両の件
2000年3月東北新幹線並行在来線運用の701系電車運行計画へ反対意見表明
2000年3月 岩手日報誌への並行在来線701系運用見直し論文投稿
2001年2月 岩手県庁で会見
2001年3月 並行在来線701系電車問題で岩手県庁に質問状提出
2001年3月 同回答
個人的な活動は多い。
東北支部としての活動は701系通勤型電車の改善世論形成及び各方面の働きかけが 主である。
2000年3月に岩手県が並行在来線(いわて銀河鉄道および青い森鉄道)に701 系電車を7ユニット配属決定し、改善運動は新たな展開を迎えた。
2000年の活動 計画には701系電車の運用改善を岩手県に求めるというものであった。
実際には2 001年になって岩手県に公開質問状を提出した。
また、岩手県との会見は701系 電車の運行決定をしてからというものであり、戦略的な意味では失敗である。
「着席率」「鉄道車両評価システム」等の利用者からみた指標が切り口として不可欠 であるが、会内で議論が煮詰まったものとはいえない。実際岩手県庁との会談では国策の被害者を強調する場面があり、ある意味で経営環境 を考えると、無理難題を要求することは困難であるというのは理解ができる。
しか し、鉄道サービスの大きな柱である鉄道車両のソフトな意味での吟味がとんどなされ ず、JR東の意見を鵜呑みにした詰めの甘さは、現状の交通政策の利用者の視点の欠如と いう意味においても、批判されなくてはならない。
岩手県は1984年に最初の第三セクター鉄道「三陸鉄道」を開業させた実績を持 つ。実際当時の鉄道政策の勢いは鉄道車両の面においても工夫がみられた。
しかし、2002年12月開業の並行在来線では「とにかく現状維持」に徹してい る。
実際川崎重工に発注した3ユニットにはボックスシートが千鳥配置が「改良点」 としての岩手県の評価である。
秋田地区でボックス改良された701系は一車両の改造費が800万円前後であ る。
もっと工夫できたはずなのに、というのが我々の見方である。
確かに国鉄分割民営化の主題は借金問題と労組問題で、交通政策からの論議はほと んどなかった。
無策のつけが地方を中心に噴出している。
他地区の情報として湯沢市長の701系改善要請等広範利用者や自治体の声に対 し、JR東は2000年11月より奥羽南線で3ユニットに関してボックスシートを千 鳥配置化した701系を改造運行しており、JR東の社長の交代で頑ななJR東の姿勢に も変化の兆候が見られた。
701系電車は2001年からは仙山線にも短区間で運行され始められ、ほぼ東北 地方を制覇した。
通勤通学時の着席率の低下は問題であろう。
ただ仙石線ではトイレ設置の205系電車が運行される変化の兆候もでた。国鉄時と比べ鉄道車両に対する原則がなくなった。
寒冷地仕様や長距離輸送使用車両 において特に普通列車の地位が優等列車の補完にすぎなくなり、定員を着席及び立ち 席を統合したことにより、東京よりも着席率が落ちた地域が東北の30万都市圏で相 次いだことは異常である。実際ある町(平泉)では鉄道利用者の苦情が町役場にくるそうである(元町長談)。
山陰・中国地方のトイレ無し車両(キハ120)の運行にもみられた利用者の声の行 き場のない状況を今後の運動で改善しなくてなならない。
行き場のない利用者の声を政策に反映できるシステムづくりを是非願いたい。
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