鉄道関連法制度について 〜運用実態とその改善に向けて〜
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2002.5.25 全国鉄道利用者会議関東支部会学習会
清水孝彰
1.前回学習会の確認
・鉄道営業法
2.鉄道関連法の運用(政策立案・運営手続)に関わる重要な公的組織
総合政策局(所管する審議会:運輸審議会、交通政策審議会)
鉄道局
地方運輸局
日本鉄道建設公団、運輸施設整備事業団 等
運輸政策研究機構 等
3.鉄道関連法の運用実態と問題点
@政策立案・計画決定段階
・新線整備の場合、地元議会・代議士・土建業界(建設業協会等)から国土交通省への陳情。
・重要案件は交通政策審議会に諮問され、審議会で大手事業者へのヒアリング(オブザーバー出席)が行われる。
・諮問案件について、審議会から国土交通省に答申される。(3大都市圏+札幌、仙台、横浜、福岡都市圏の場合は特に重要)
(資料−5参照)
・予備調査や答申前後の調査を、(財)運輸政策研究機構が行うことが多い。
・新幹線の場合、審議会ではなく「政府・与党申し合わせ」での政治決着。
●問題点
・鉄道・公共交通の政策・基本計画を定める法的手続きがなく、超法規的に政治的に決定されている(審議会答申、政府・与党申し合わせの結果が事実上の基本計画)。
・政策・基本計画に、住民・利用者の意見を反映する制度や、現況に対する評価に基づく見直し等の手続きが規定されていない。実質的に、運輸政策研究機構の調査報告書がそのまま活きる。最近は審議会への諮問案件について、自主的なパブコメが行われるようになった。
・政策・基本計画の内容がハード面偏重で、ソフト面の内容は希薄で実行にも移されにくい(予算制度と関係あり?)。
A事業化・予算化段階
・事業主体が決定され、国土交通省と事前調整が行われる。
・運輸施設整備事業団の助成制度や融資が活用される(資料−6参照)。
・予算化の方法に、事業主体の決定が連動する。
●問題点
・新幹線や地下鉄など、大規模な新線の建設に手厚い補助。LRTのような「軽快鉄道」に対する補助や、ソフト支援に対する補助は少ない。
・バリアフリー関係の補助は駅の改修工事関係(エレベータ・スロープ等)が中心。
・鉄建公団が建設主体(第3種事業者)となると、補助が手厚くなる。
・住民・利用者に対する情報公開が最も不透明な段階。
B事業運営段階
・事業認可、事業譲渡譲受認可−地方運輸局が窓口となり、国土交通省が主導。
・運賃認可(変更認可)−国土交通省から運輸審議会へ諮問。
・休廃止届出−地方運輸局が窓口となり、国土交通省が主導。廃止の繰り上げについて自治体・利害関係者に意見陳述の機会あり。
●問題点
・事業認可、事業譲渡譲受認可は細かいものまですべて国土交通省の認可事項、鉄道事業法の認可要件に基づき審査するため、独立採算が大前提となる。赤字を前提とした税金による運営や、ボランティアによる非営利運営などは認可されない。地方鉄道を専門に扱うセクションはなく、地方の実態に即した認可とはなりえない。
・逆に廃止は、赤字の根拠資料を揃えれば届け出のみでOK。(北勢線のように、書類上で赤字を作り出すだけでも受理される)
→地方の不採算路線を切り捨てる方向にしか向かわない枠組みとなっている。
4.交通市民団体から提案されている新たな枠組み(法制度)
@交通基本法→住民・利用者の意見に基づく、一貫した公共交通計画(ハード面・ソフト面共)を策定し、実行に移し、実態を評価し、計画の見直しに反映させる仕組みを規定。公共交通による移動の権利(交通権)の明記。
A軽快鉄道法→独立採算を前提とする鉄道事業法から地方の鉄道を切り離し、軌道法や都市モノレール法を合体、これらの鉄軌道系の運営について、地方自治体(一応県レベルを想定)に認可権を与える。上下分離を促進し、下(線路・駅設備)は自治体が保有、上(車両運行)を民間事業者に開放。上については、住民の合意の元に税金による運営や、ボランティア・NPOによる運行も認可できるようにする。普通鉄道構造規則や鉄道運転規則を代替する、地方に見合った検査基準も必要となる。
●出典資料
東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について
(運輸政策審議会答申第18号)2000、運輸政策研究機構
中長期的な鉄道整備の基本方針及び鉄道整備の円滑化方策について
(運輸政策審議会答申第19号)2000、運輸政策研究機構
○資料入手方法の紹介
・電子政府の総合窓口……鉄道事業法、鉄道営業法をはじめとする各種法令・政令・規則等が入手できます。
・国土交通省ホームページ……プレスリリース、各種審議会の議事概要・答申文、情報公開請求文書の検索システム、パブリックコメント募集案内があります。特殊法人・公益法人等関連団体へのリンクもあります。
・運輸施設整備事業団ホームページ……鉄道事業助成制度の詳細案内が入手できます。
・運輸政策研究機構ホームページ……報告書・刊行物の検索・注文ができます。
・JR・民鉄各社ホームページ……プレスリリースに注目して下さい。
・財務省印刷局政府刊行物サービスセンター
・国土交通省図書室
・国土交通省本省及び地方運輸局情報公開窓口