琉球新報 朝刊  掲載日2002年2月21日(木)

【 論壇 】

常軌を逸する本島中南部の道路渋滞

ほんろうされた戦後沖縄の鉄軌道計画
 
武田泉

 沖縄本島には、第二次世界大戦前に存在した軽便鉄道が沖縄戦により破壊され、戦後は復旧されないまま米軍のもたらしたクルマ社会へと突入した。このため国内で唯一、軌道系交通機関のない特殊な交通事情のまま推移し、さまざまな課題を山積させている。本島中南部の道路渋滞は常軌を逸する一方で、来年開業予定のモノレールへの待望論や意識が低く、本土では考えられないことである。沖縄で三度見られた鉄道導入論議は、以下のとおりである。

 まず明治から大正期の改正鉄道敷設法による国鉄敷設運動があるが、沖縄では県営軽便鉄道を自前で敷設している。戦後数年後に「うるま新報」に鉄道復活の記事が見られたが、軍事優先の中、一部は逆に嘉手納へのパイプライン化した。

 第二には、復帰直後の国鉄導入構想である。当時の意見書には、本島の軌道系交通と国鉄船舶導入が書かれ、要望先は運輸省ではなく国鉄だったため瓦解(がかい)する。さらには、当時の県内知識人が「新しい交通システム」を標榜した結果、「モノレール」にすり替えられる。旧建設省の道路事業として建設費が安価だとされたモノレール(新交通システム)は、都市内短距離用で追い抜きや直通運転もできず、各交通モードの論議が不十分であった。

 そして今回の鉄道導入論議となる。本土政府による沖縄振興策論議や、建設省(道路行政)と運輸省(鉄道行政)の国土交通省としての統合、海外からの環境対策としてのトランジットモールやLRT論議の高まり等を考え合わせると、今が絶好のチャンスである。県内にもNPOや市民組織が設立され具体的に運動している点は心強い限りである。筆者は、路面電車(市街地)と一般の鉄道(郊外部)をミックスした新たな形態がふさわしいと考えているが、論議は抽象的ではなく具体的に行われるべきである。以下に考慮すべき点を述べたい。

 1.モノレールは首里もしくは西原入り口までとし、そこから先は延長しない。またモノレールは那覇市内に留めるべきである。

 2.新設する鉄軌道の那覇駅用地として、市内北部の天久のモノレールおもろまち駅西側に細長く幅数十メートルの用地を空き地として緊急に計画変更し、残すべきである。

 3.新設鉄軌道は、モノレールとの結節駅となるおもろまちから道路用地の端を走行し、本線(国道330号〜西原IC〜沖縄自動車道〜胡屋〜バイパス沿い〜名護)と支線の路面電車(宜野湾や胡屋〜具志川等)を沖縄振興予算(道路特定財源を含む)で建設すべきである。

 4.軌道法を廃止し鉄道事業法から分離したLPT新法(仮称「軽快鉄道法」)を制定し、道路と鉄軌道の一体的施行を可能にし、鉄建公団、運輸施設事業団の助成制度に沖縄特例枠を設け、総合事務局の開発建設部が直接施工できるよう、制度改革を強力に主張していくべきである。

 なおこうした筆者の考えに関連して、今週土曜日二十三日の午後二時より沖縄大学本館大会議室にてワークショップを行う。積極的なご参加をお願いしたい。

 (北海道教育大学助教授、沖縄大学派遣、全国鉄道利用者会議代表)


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