松川由実
この度の横浜市における、今後の環境保全行政の中核をなす新たな条例案策定に向けた審議の中間まとめ資料に基づき、一横浜市民としてさらに生活者として、大都市圏における主として交通環境対策を中心に、意見を述べたいと思います。
COP3以降の地球温暖化対策等においては、新たにグローバルな政策立案が必要となり 、私たち一般市民にとってもライフスタイルの変更等を行っていかなければなりません。
とりわけ交通分野についてみてみますと、環境省中央環境審議会の資料や公聴会での発言において、自動車、特にマイカー利用の伸びが近年のCO2排出量増加の大きな部分を占めているとされています。つまり、個人の自動車利用への対策が不可欠かつ急務となっているということです。今日、自動車についての交通環境対策としては、自動車側の公害・排出ガス防止対策(NOX法、PM法他)、車種対策(ディーゼル車規制 他)、低公害車(電気自動車、燃料電池車等)の普及、道路交通円滑化に資するようなIT化(ITS他)等が、国からの提起もあってか様々模索されていますが、いまだ実効性の上がる域には至っていないようです。
ライフスタイルの変革につながるような、クルマの相乗りやカーシェアリング、公共交通の優先、とりわけ軌道系交通機関の重視が検討されて良い筈なのに、対策は遅々として進んでいません。特に日本の鉄道は、建設時の補助制度が旧建設省と運輸省の対立に端を発する構造の中で、大規模な地下鉄建設を優遇するあまり、比較的コストの安価な路面電車やLRTの導入を制度のはざまのため軽視する姿勢が存在します。また、鉄道計画が運輸(交通)政策審議会という一般市民には遠い機関で一律に位置付けられ決定されていて、こうした利害調整機関の決定の合理性についても疑問を感じます。さらには鉄道事業者がいくつにも分かれていて、異なる会社に乗るたびに自動改札に切符を入れ、しかも初乗り料金を取られる。こんな利用者にとって煩雑な運賃体系の中で、欧州のような共通運賃制や運輸連合の実施は全く目途が立たないばかりか、行政機関では利用者本位の立場に立った導入促進の姿勢すら存在しないように思えますことは甚だ残念です。
横浜は東京からみるとベッドタウン、神奈川県から見ると産業の集積地であるため、放射状の鉄道ネットワークは比較的整備されていますが、東京23区のように網の目にはなっていません。そのため、市内の移動はクルマを使う方が目的地へ短時間で直線的にいくことができるため、日常生活の中での様々な場面でマイカーへの転換や依存も進んでいます。市内においてはJRと私鉄でネットワークが形成されている訳ですが、東急東横線の特急の止まる菊名駅に一方のJR横浜線の快速が止まらず不便を感じている市民が少なからず存在することをご存知でしょうか。長津田や今回あざみ野については、一方の優等列車が後から停車するようになりますが、それに至る何年もの間不便を強いられる市民の声をご存知でしょうか。
地下鉄ができても、その駅のホームから改札口を経て出口まで時間がかかります。駅前に来ても接続するバス路線がなかったり、逆にバス路線が廃止されることによって、地下鉄建設が公共交通過疎地を助長してしまうことさえあります。
マイカーをはじめとする自動車利用を優遇する政策をとると、道路渋滞の緩和のため円滑化を図る対策として道路建設をするのだと、市長は議会で何度も答弁しておられます。しかし、渋滞解消による円滑化目的の新たな道路建設は、さらなる自動車走行台数の増加をもたらし、環境負荷が将来にわたって大きいことということは今や先進国を中心に世界の常識であります。
また、クルマ利用を抜本的に抑制するためには、街の都心部へは公共交通でのアクセスを奨励することが必要でありながら、横浜市は 未だに街の中心部に大型地下駐車場を建設するなど、環境行政とは整合性の感じられないような建設主体の施策を行ってきているのです。公共交通への誘導を意図したと思われるMM21線の建設の場合も、元町駅の建設と同時に地下駐車場の建設も行われています。P&Rによってクルマの走行距離を短くし、都心部に対する公共交通利用への誘導策とすることは、既に欧米にはよく見られるものです。このような世界の趨勢の中で、未だに大規模な駐車場をまちの中心部に建設しようとすることの意図がまったく理解できません。環境保全局公害対策部交通環境対策課におかれては、元町の共同配送の実験など温暖化対策に積極的に取り組んでおられる部署もあります。一方で、公共交通への積極的な誘導策とは無縁に道路建設に相変わらずまい進している局もあるというわけです。環境保全局は環境を守るための施策を行っておりますが、どうも他の局がそれにもとづいて事業を行っているとは、とても考えられません。
今や地球環境問題は、排出ガス削減目標等を含め猶予のない深刻な問題として私たちに迫っています。今回の条例作成にあたっては、それぞれの局が横断的に連携しあって、横浜市として全力で環境保全行政に取り組め、かつ以前国内の環境行政を先導した経験を踏まえるような画期的なものにしていただきたいと切に願います。
さらに今回の意見公述を機に、市民参加の件につきましても意見を述べたいと思います。私は鶴見区において消費生活推進員をしておりますが、日頃から環境問題について、地域を巻き込んで学習会やファイバーの回収などの活動をしています。特に、昨年の区民文化祭での消費生活展においては、環境保全局作成の「地球温暖化防止のために今ナイナイ家にできること」のパンフレットを使い、省エネルギーをアピールしました。
このパンフレットは消費生活の地区代表者研修でいただいたものです。このように日頃から環境保全のために活動している私たちですら、今回の説明会のことは知らされませんでした。もちろん、市の広報紙では掲載されていましたが、このような広報で十分とお考えなのでしょうか?消費生活推進員は経済局の担当だから推進員の意見をきく必要はないのでしょうか。他にも環境のNPOなどへの広報はどのように行われたのでしょうか。この条例のあり方(7)に事業者・市民の参画とありますが、本当に市民の参画を市が望んでいるのかはなはだ疑問であります。重要な条例を作成するにあたり、意見を述べる市民が少ないことをどのように分析されているのか知りたいところです。
以上、横浜市における「新たな条例案」及び「温暖化防止地域計画」について、主として交通政策を中心に意見を表明し、同時に「縦割り行政を超える条例にしていただきたいことと、「多くの市民が議論に参画しやすい広報のあり方」についても意見を表明させていただきました。
(松川注:この条例案の第二回説明会の出席者と意見発表者のほとんどが、背広を着た会社・事業者関係者で、一般市民の姿はほとんど見受けられなかった。広報がHPと市役所掲示板でしか見つけられないようなものであったため、こうなったのだろうか。市民感覚に乏しい市役所のPRの認識またしても垣間見てしまったような気がする。)