「北勢線存続に関して三重県の責務を問うアピール」

 

 北勢線(北勢鉄道)は明治期の軽便鉄道法施行による開業以来、桑名と員弁を 結ぶ沿線住民の重要な交通手段として、この地域の持続的な発展に寄与してきま した。全国に300余線造られた各地の軽便鉄道はその歴史的使命を終えて廃線 あるいは昇格し、今や僅か2線だけ営業運行されている貴重な産業資産でもあり ます。
 その経営を永年引き受けて安全第一に運行してきた、近畿日本鉄道には深く敬 意を表するものでありますが、近鉄本線および本社業務に合理化を余儀なくされ ていると伝えられている現在、利用者として創業時の篤志家達に思いを馳せ、そ の精神に立ち帰り、「住民の住民による住民のための」鉄道を守っていく決心を したところです。
 北勢鉄道が走りはじめた20世紀初頭から工業化の波と公害への反省を経て2 1世紀に入った今日、世界は環境保全と福祉と教育をその最優先のテーマにし て、先進諸国では自動車からLRT(現代の軽便鉄道)へと人と自然に優しい街 づくり、国づくりをはじめております。私達はこの世界の趨勢を真摯に感じ取 り、人と自然環境に優しい公共交通機関として北勢線を位置付け、さらに教育問 題においても、通学権の確保すなわち「低廉で定時性を最優先した公共交通手 段」を維持していかねばならぬ義務を自らに課すものです。この責務は特に県立 高校生の多いこの沿線地域の事情から、これを強く三重県に求めます。
 幸いにして「北勢軽便鉄道をよみがえらせる会」他の努力によって運行を引き 受けてくれる鉄道会社が明確になった現在、三重県においては、環境先進県をめ ざす知事の強い決意に加えて、北勢地方が県の過半の産業地区であることをかん がみて、その発展と活性化に寄与すべく、北勢線運行維持のための厚い予算処置 をとられるよう、求めます。

 以上、未来へ走ろう北勢線公開討論会参加者の総意としてここに宣言します。

平成14年6月29日                                     

     未来へ走ろう北勢線公開討論会参加者一同                                     

     (北勢軽便鉄道をよみがえらせる会主催)                                     

     (全国鉄道利用者会議共催)