この度、三重県を走る近鉄北勢線の存続に関し、必要な経費を三重県および
沿線自治体が負担することにより、この運行を地元私鉄である三岐鉄道に
引き継ぐことが決定しました。
この路線は、三重県桑名市と員弁郡北勢町を結ぶ全長20.4km(*)の路線であり、
地元住民の足として、また沿線の各学校の通学手段として、毎日多くの乗客が
利用しております。しかしながら、運行会社である近鉄の経営改善計画の
一環として、路線の廃止が決定されました。
これに対し、沿線自治体や住民、利用者からは第三セクターなどによる路線
存続を求める声が多くあがり、当初は「バス転換以外の方法は認めない」と
していた三重県もこの民意に押される形で、鉄道存続に関し資金面での援助を
決定したものであります。
私たち全国鉄道利用者会議は、今年初頭より沿線市町村および存続を求める 地元団体の皆様と協力し、北勢線を残していくための様々な活動を展開して まいりました。特に、「北勢軽便鉄道をよみがえらせる会」との共催により、 去る6月29日に桑名市内にて開催した「北勢線シンポジウム」は、バス転換を 前提においた県の流れに一石を投じることが出来たものと確信しております。 一度は廃止が決定的となった鉄道路線でしたが、地元の熱意が県を動かし、 ついには状況をひっくり返した、このお手伝いができたことを私たちは誇りに 思っております。
当然のことながら、北勢線を末永くは知らせていくための運動は、これで
終わったわけではありません。むしろ、山積みになった問題のひとつが解決
したにすぎません。しかし、今回取り除かれたこの「問題のひとつ」は、
他の問題を解決していくための、かけがえのない一歩であります。存続に至る
までの地元の熱意とパワーをより一層盛り上げていくために、今後も全国鉄道
利用者会議は地元団体と協力し、さらなるお手伝いをしていく所存です。
また、この北勢線存続運動をお手本とし、廃止が取りざたされている全国の
ローカル線が、沿線住民の足として、また地元の発展を支える背骨として、
公共交通機関としての役割を取り戻すためにこれからも邁進していきたいと
思っております。
存続の決定した北勢線が、三岐鉄道北勢線としていつまでも走り続けることを 願って、コメントとさせていただきます。