★「国土交通省所管の公共事業の構想段階における住民参加手続きガイドライン (案)に関する意見と国土交通省の考え方」が公表される★
「国土交通省所管の公共事業の構想段階における住民参加手続きガイドライン
(案)」に関する意見に対する回答が公表されました。説明責任を果たすという風
潮から、具体的な回答がなされた点は評価できます。
但し、意見によって改善された点は、「事業を行わないこととする案を含むこと
が適切な場合は、当該案を複数案の1つに含める」ことと、「協議会の設置は、事
業の特性や事案の性質の他「地域の実情」もかんがみて設置を行う」ことの2点が
修正されたのみで、他は国交省の既定方針通りでした。特にガイドラインの根幹に
関わる下記3点
・ガイドラインの対象を国交省・公団直轄の構想段階の事業以外に広げない
・協議会・第三者機関の設置を必須とせず、あくまで事業者の意向に従う
・最終決定段階に住民を直接関与させない
は、多数の改善を求める意見があったにもかかわらず、既定方針が貫かれました。
全体としては、当初の予想通り、「手続きの円滑化のための組織(協議会・第三
者機関)の設置」に相当多数の意見が集中しています。協議会や第三者機関がいか
に重要性が高く、また、多くの問題を抱えているかを、如実に示したものといえる
でしょう。
以下、国交省の回答を、○(本会の意見が反映され改善された)、△(既定方針 通りだが本会の意見に沿う)、×(既定方針通りで本会の意見に反する)に分類評 価しました。
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国土交通省ホームページより本会及び会員の提出意見に対する回答を抜粋
第1 対象の考え方
(頂いた御意見)
全ての公共事業及び民間事業を住民参加の対象とすべき
他省庁事業も含めた国の公共事業のガイドラインへと発展させるべき
(国土交通省の考え方)→×
ガイドラインの対象事業を広くすべきとの趣旨の御意見をいただいております。
本ガイドラインは、国土交通省が作成するものであることから、国土交通省の判断
により実施することが可能な国土交通省所管の直轄事業及び公団事業を対象として
おりますが、対象の中では規模等により特段の限定を行うことなく、すべての事業
について、ガイドライン第3の手続きを活用して、住民参加手続きの積極的な実施
に努めることとしております。
個々の事業における具体の住民参加手続きの内容は、事業の特性や事案の性質、
地域の実情等が事業ごとに様々であることから、一律に定めることとはせず、こう
した個別事情に応じて、住民参加手続きに関する住民の要望の大きさも勘案し、事
業者が必要かつ十分な内容の手続きを判断して実施することとしております。
このうち、事業の規模等の観点から国民生活、社会経済又は環境への影響が特に
大きい事業については、これまで社会的な問題ともなってきた例もあることを踏ま
え、特に住民参加手続きが必要であるとの認識にたち、第3 構想段階における住
民参加手続き(1)〜(8)の一連の手続きを実施することを基本としておりま
す。
(頂いた御意見)
すでに計画又は事業実施の段階の事業についても、住民の反対の強い事業、汚職
や談合の疑惑が発覚した事業等については、住民参加手続きのやり直すべき
(国土交通省の考え方)→×
本ガイドラインの手続きは、構想段階にある事業を想定しており、すでに計画段
階や事業実施段階にあり関係する法令等の手続き等を実施している事業について
は、それぞれの段階に応じて行うこととされる手続きにより、住民等の意見等との
調整を行うことが基本となります。
第2 定義
(2)住民参加手続き
(頂いた御意見)
「住民」を狭い範囲に限定しないこと。全国的にパブリックコメントを募集、ま
たは、事業の影響が及ぶ地域の範囲についても住民参加を行って決めるべき
事業の現場住民だけでなく、事業の影響を受ける全地域の住民を対象とする
(国土交通省の考え方)→△
「当該事業の影響が及ぶ地域」及び「当該事業の影響の及ぶ地域住民その他の関
係者」の範囲については、一律の基準を定義できるものではなく、事業の特性や事
案の性質、地域の実情等を勘案して、個別の事業ごとに事業について説明責任を負
う事業者が判断すべきものと考えております。その際、「その他の関係者」と表記
していることからも明らかなとおり、対象住民の範囲を狭く限定する意図はありま
せんが、いただいた御意見は、事業への関係の度合い等も考慮して、事業者や手続
きの円滑化のための組織において検討されることとなります。
第3 構想段階における住民参加手続き
(1)事業者のよる複数案の作成、公表
(頂いた御意見)
事業を中止する選択肢を必ず入れるべき
(国土交通省の考え方)→○
御意見を踏まえ、「事業を行わないこととする案を含むことが適切な場合は、当
該案を含める」ことと修正します。
(頂いた御意見)
案には、自然再生事業等の環境保全の案や、既存施設を有効活用する案を含むこ
ととするべき
(国土交通省の考え方)→△
事業者は、環境をより重視する案や既存施設をより有効活用する案を示すことが
適切と判断する場合には、これらの案を示すこととなります。また、(4)に示す
とおり、各案について、事業費、国民生活や環境、社会経済への影響、メリット・
デメリット等の情報を公開・提供することとしております。
(2)事業者による住民等の意見の把握のための措置
(頂いた御意見)
参加制限なく、参加者が自由な発言を行うことのできるワークショップを開催す
べき
公報による周知、電子メールや電話による意見提出などできるだけ様々なツール
を用いて、案の周知や意見聴取を行うべき
(国土交通省の考え方)→△
事業者による住民等の意見の把握のための措置は、住民等が複数案を十分に比較
検討して、判断することができるよう行うものであり、ガイドラインで例示してい
る説明会や公聴会の開催、意見書の受付けを典型例としていますが、ワークショッ
プ等住民等相互間の意見交換、住民が基礎知識や現状認識を得るための勉強会、又
は住民等の要請も踏まえ事業者が行う調査とその結果の公表等も、その他の周知方
法の一つとして、必要に応じ、事業者が行うことができるものです。また、公報や
電子メールなどを含め、住民の視点からアクセスが容易なツールを活用していきた
いと考えております。
(3)手続きの円滑化のための組織の設置
(頂いた御意見)
協議会や第三者機関(以下「協議会等」)は、「必要に応じ」でなく、「必ず設
置」することとすべき
協議会等の設置目的、必要性、人選方法を決定する際にも住民に意見を求めるべ
き
住民等の発意、提案によっても協議会等を設置できることとすべき
協議会等の組織の人選、運営においては、事業者からの独立性を確保するととも
に、任命理由の公表など透明性を確保すべき
(国土交通省の考え方)→×
協議会は、事業者が、自ら住民等の意見の把握手続きを行うよりも、関係者の間
で直接に意見の集約・調整を図る方がより円滑な住民参加手続きを図ることができ
ると判断する場合等に設置し、当該集約・調整を推進するもの、また、第三者機関
は、事業者が、客観的な第三者を介した方が円滑な住民参加手続きを図ることがで
きると判断する場合等に設置し、中立性、公正性を向上させるもので、いずれも事
業者の意向からの独立性をもって活動する組織を想定しています。なお、協議会等
を設置しなくとも住民との調整を図ることのできる場合、または、中立性、公正性
を確保できる場合等、事業のスピードアップやコスト縮減の観点も踏まえ、あえて
協議会等を設置する意義がない場合もあると考えております。
設置は、事業の特性や事案の性質にかんがみて行われますが、この場合には、地
域住民の意向を含む地域の実情も考慮されるべきであることから、御意見も踏ま
え、「地域の実情」もかんがみて、設置を行うことと修正いたします。
また、協議会等の開催する会議の会議資料を原則として公開することとしており
ますが、会議の資料では、組織の設置趣旨や、委員の専門分野や所属等を明らかに
する等、組織の設置や人選について透明性を確保していきたいと考えております。
(頂いた御意見)
協議会等の委員は広く一般から公募するとともに住民・NPOの推薦する専門家
を入れるべき(建設業関係者、建設業者から献金を受けている政治家、建設業者か
ら研究費を受けている学者を選任しないこと)
(国土交通省の考え方)→△
委員については、協議会の場合は広く様々な利害関係者の意見が代表されるよ
う、また、第三者機関の場合は中立性、公正性や地域の実情等に配慮して、幅広い
分野からバランスよく人選される必要があることから、事業に責任を負う事業者
が、事業の特性や事案の性質を勘案して、総合的な観点から、住民やNPO等から
の人選の可能性も含め、適切な人材を人選、任命することとしています。ガイドラ
インは、公募による人選の手続きを否定するものではありませんが、公募による場
合でも、上記のような広く様々な意見の反映、中立性、公正性、バランス等の趣旨
を確保することが必要であると考えています。
(頂いた御意見)
第三者機関が客観的に内容を作成し実施するアンケートを実施すべき
第三者機関のとりまとめは、強引に一つにまとめず、対立意見を併記する等工夫
するべき
(国土交通省の考え方)→△
協議会や第三者機関は、住民参加手続きを円滑に実施するために与えられた所掌
事務の中において適切な事務を行うものであり、例えば、第三者機関が住民等の意
見を把握するため、アンケートの作成及び実施を行う、又は、事業者が一の案を判
断するに当たっての助言等を行うことが考えられます。また、こうした助言等につ
いて、第三者機関が複数の意見を併記するかどうかは、事業の特性等に応じて、第
三者機関が判断することとなります。一の案への判断については、事業に対して最
終的に責任を負うのが事業者であることから、事業者が行うこととなりますが、当
該判断に際しては、第三者機関の助言等を最大限尊重して行うこととなります。
(頂いた御意見)
協議会等について、会議資料及び議事録の公開だけでなく、会議自体を公開すべき
会議資料や議事録を容易に入手し、分かりやすく提示すること
(国土交通省の考え方)→△
本ガイドラインは、会議の公開を否定するものではありませんが、事案の性質等
によっては、委員の自由闊達な意見交換を確保するため、協議会等の判断により公
開しない場合もあると考えています。ただし、その場合も、原則として議事録を公
開する等、透明性を確保するよう協議会等に配慮いただきたいと考えております。
また、会議資料や議事録を公開する場合は、インターネットによる公開等、住民等
が容易に入手し、分かりやすく提示するように努めることとします。
(4)住民等の意思形成に際しての配慮
(頂いた御意見)
合意形成に関するあらゆる情報を公開すべき
提供すべき情報を具体的に例示すべき(事業スケジュール、設計図、価格、価格
決定根拠、先行事例、類似事例、事業対象地の情報、説明会やアンケートの結果、
陳情書等)
説明会、公聴会の開催予定の周知時期、パブリックコメントの募集期間に標準的
な時間を設置すべき(開催時期の周知は最低3週間前、パブリックコメントは最低
1ヶ月間)
(国土交通省の考え方)→△
事業者が提供する情報については、十分に、かつ分かりやすく提供するととも
に、説明会等のスケジュールはできる限り余裕を持たせ、住民の十分な意思形成を
図るべきとの意見をいただいております。情報の質については、事業者は、複数の
案の各々について、当該案を提示した背景及び理由、事業費などの案の内容、国民
生活や環境、社会経済への影響、メリット・デメリット等住民等が複数の案を比較
検討し、判断する上で必要かつ十分な情報を積極的に公開、提供することとしてお
り、住民が活用しやすい情報を提供するよう努めることとしています。また、スケ
ジュールについては、説明会又は公聴会に関して、十分に住民等への周知を図るよ
う時間的余裕をもってその開催の予定を公表することとするとともに、事業に対す
る住民等の意思形成に十分な期間を確保するよう配慮することとしているなど、住
民のことを考えたスケジュール設定にも努めることとしています。
(7)事業者による計画案の決定、計画案決定過程の公表
(頂いた御意見)
最終決定に、住民投票など住民の意見を直接反映させるようにすべき
(国土交通省の考え方)→×
本ガイドラインでは、事業者、住民、地方公共団体その他関係者が各々の役割を
認識した上で、責任を果たしつつも、事業の構想段階において事業に最終的な責任
を負うのは事業者であることから、事業者が次の計画段階に入るべきかの判断を住
民等の意向を十分に把握しつつ行っていくための住民参加手続きを示しておりま
す。事業者による一の案の決定は、施設の位置や規模等の基本的な諸元を決める等
その後の計画策定や事業の実施の前提、又は、事業を行わないことを決めるもので
あり、その決定について、あるいは、決定に至るまでに提供した情報の内容につい
て、事業者は、住民等にどのように説明し、住民等のどのような意向を把握し、ど
のように一の案に反映したのか説明責任を果たすことが必要となります。事業者が
必要な住民参加手続きを行った上で一の案の決定を行うこととするよう、事業者
は、「住民参加手続きを経て、一の案に決定」することとします。
また、住民等に意見を聴く際には、事業者は、複数案について、比較検討が可能
となるよう、できるだけ定量的なデータを含めそのメリット、デメリット等を分か
りやすく示すこととしており、これらの情報を基にした住民等の意見、提案を十分
に把握していきたいと考えております。
なお、住民等は、事業に対し最終的な責任を負うことになっていないことから、
住民等が一の案への最終決定を直接行うこととするのは困難であると考えておりま
す。
第5 地方公共団体が実施する事業
(頂いた御意見)
「講じられることを期待する」ではなく、「要請する」と強めの表記にすべき
「期待する」だけでなく、地方公共団体が住民参加手続きを確立できるような支
援体制を構築すべき
(国土交通省の考え方)→×
地方分権の趣旨や、地方公共団体において独自の住民参加の取組みが行われ成功
している事例も踏まえ、地方公共団体の実施する事業においては、地域の実情に応
じて、地方公共団体において主体性を活かした住民参加手続きが行われることが基
本となるものと考えています。このため、本ガイドラインが地方公共団体を拘束す
ることとならないよう、「事業の規模等に応じて、本通知の趣旨に配慮した措置が
講じられることを期待する」こととするとともに、本ガイドラインの配布や適用実
例の周知等を行い、地方公共団体の取組みを促進、支援していこうと考えていま
す。
【ガイドラインの内容に関係するそのほかの意見】
(環境アセスメント)
(頂いた御意見)
計画段階での「環境アセスメント」を義務付けし、さらにアセスへの住民の参加
も義務付けるべき
環境省が検討している戦略的環境アセスメントの導入との連携を図り、国土交通
省と環境省が共同で取り組むべき
(国土交通省の考え方)→×
本ガイドラインでは、複数案を提示する際、各案の環境への影響も含め、住民等
が判断する上で必要な情報を公開、提供するよう配慮することとしており、住民等
においては、環境への影響も考慮して、意見等の提出を行うことが可能です。上位
計画や政策における環境への配慮の仕組みについては、事業の特性に応じた具体的
な検討項目や調査・分析などの技術的手法等を検討しているところであり、この検
討成果を反映させ、本ガイドラインの住民参加手続きで提供される環境に関する情
報も充実していきたいと考えています。
(上位計画や管理段階の住民参加)
(頂いた御意見)
事業の根拠となる上位計画・政策への住民参加を義務づけるべき
施設管理において特定の町内会やNPO等の利権につながらないよう、委託契約
など透明で公平なルールの下で行うべき
(国土交通省の考え方)→△
例えば、平成15年度以降5ヶ年間の社会資本整備の方向を示し、個別事業の上
位計画と位置づけられる社会資本整備重点計画については、計画案の作成に際し、
パブリックコメントにより国民の意見を聴くこととしているところであり、国民の
ニーズを踏まえた内容の計画とするよう努めています。また、管理段階における住
民等との協働作業については、特定の団体のみを利することとならないよう、透明
で公正な手続きにより行っていきます。