平成13年12月20日 中央環境審議会地球環境部会「京都議定書の締結に向けた国内制度に関する答申案」 についての国民の皆様からの意見募集及び公聴会の開催について *** 京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方について(答申書)への意見 *** ■氏名:武田 泉 ■所属・職業:全国鉄道利用者会議代表(北海道教育大学助教授) ■意見: 今回の答申案について、特に鉄道等の公共交通を機軸とした交通環境対策につい て意見表明したい。 温室効果ガスの延びは運輸旅客部門、とりわけマイカーの伸びが著しいと述べら れている。これを何らかの対策を講じることがきわめて重要との認識は共有されて いると考える。 答申案ではその後に国内制度の整備やグリーン購入、ライフスタイルの形成につ いて書かれており、さらに「交通対策のグリーン化」として具体策が挙げられてい る。マイカーの削減にはその代替となる公共交通機関の充実、とりわけ道路によら ず電気による運転も可能な鉄道(軌道)の充実が不可欠なはずである。しかしなが ら、項目として取り上げられているものには、自転車対策とエコドライブや道路の 管理、とりわけ海外から輸入した手法あるTDMやITの活用等の文言ばかりが目立って いる。その一方、公共交通機関特に鉄道を具体的にどうするのかの記載が無きに等 しい。中央環境審議会におけるこのような姿勢は、地方自治体の環境セクションの 対応をきわめて曖昧なものに終始させ、廃止寸前の地方鉄道へ具体的な対策も施せ ないまま、自動車が増加していく状況を指をくわえたまま傍観していたり、実効性 のなく掛け声倒れのノーマイカーキャンペーンだけに終始していたようにも受け取 れる。 政府を含め環境の部局が、従来具体的に公共交通対策に取り組めなかったのは、 こうした分野が国土交通省鉄道局や道路局都市局の所管であり、所管を飛び越えて まで勧告するような政策対応がなされてこなかったという背景が存在する。もし本 気で対策を講じるというなら、地球環境対策予算で鉄道等の公共交通改善対策に補 助金を支出したり、役所の都合で形成されている鉄道関連法体系(鉄道事業法、軌 道法、都市モノレール促進法、道路整備特別措置法、連続立体事業なついての建設 省運輸省協定)に踏み込んで、抜本的に再編、改変を行うことが必須であると考え る。 わが国の鉄道は世界的に稀な大手私鉄による採算りの経営が存在し、これがJRを 成立させてきた。しかし鉄道事業者は自前で線路施設を管理せざるを得ない等、道 路や港湾、空港と比べ著しく不利な状況にあり、合理化が進み、地方では鉄道網の 衰退に拍車がかかっている。コストの安い路面電車(LRT)の導入は制度がないため ないため見送られており、補助制度は充実しているも事業費の高いモノレール他が 各地で建設されてきたことをいかに考えるべきであろうか。また、事業者にとって 合理化のための省エネや一部のリサイクルにしか環境対策の目が向いておらず、北 欧でみられるような「風力(発電)電車」の導入という発想は皆無である。省エネ 電車も、乗客にとって着席率が低くサービスの低下した低コスト安物車両が増備さ れていたり、運賃割引制度を一方的に廃止されることもあり、こうした鉄道事業者 による消極的施策も鉄道離れを引き起こしているケースも存在する。このため、地 方の乗客の少ない赤字ローカル線は環境対策というより非効率ととらえられ、マイ カー利用が温存される結果となっている。 以上述べたように、交通環境対策として公共交通特に鉄道他に対してどのように 考え、どのように対策を講じていくことによって、マイカーの削減を行うべきかと いう観点について、今後より具体的に対応すべきであり、場合によっては他省庁所 管の政策にも強力に関与していくことが求められているのではないだろうか。
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