利用者会議は国土交通省鉄道局による鉄道事業法施行規則の一部改正に関する意見公募に対して、意見を二つ提出いたしました。


国土交通省鉄道局総務課 御中

鉄道事業法施行規則の一部改正についての意見

 

(以下、「法」は鉄道事業法を指す)

1.乗継円滑化措置(法第22条の2)に関する規定の整備について

@鉄道事業者間の相互直通運転、対面ホームによる接続
○事業者が講ずべき乗継円滑化措置の1つとして定めることは評価する。現在の鉄 道駅は、改札口とプラットホームを改良しただけでは円滑化できない構造的問題を 抱えたものが多く、相互直通運転による乗換の解消、対面ホームでの乗換を積極的 に推し進める必要がある。また、鉄道事業者間のみならず、JR(新幹線と在来 線)や、営団・都営地下鉄など、同一事業者においてもこれを推進するための規定 が必要である。

A他の運送事業者との旅客の乗継ぎの円滑化のための改札口の新設
○他の事業者との乗継ぎ円滑化のためには、中間改札口を新設するのではなく、後 述Bの共通運賃化を積極的に進め、中間改札の廃止を目指すべきである。
○乗継ぎを円滑化するにはハード面(駅施設)以上に、乗継ぎを十分考慮したダイ ヤ編成が必要である。運送事業者間、特に鉄道とバスのダイヤが連携していない事 例が余りに多い。事業者側が一方的にダイヤを決めるのではなく、住民の要望を把 握する仕組みを作り、住民の求める時間に列車・バスを走らせ、少しでも乗客が満 足するようなダイヤ編成とすることが必要であり、運行計画の届出(法第17条) において考慮する必要がある。

B乗車券の共通化
○近距離の運賃・料金では、会社間にまたがる場合に別々に運賃を計算して合算す るやり方を改め、会社に関係なく利用距離に応じて運賃を計算するような統一化さ れた体系が必要である。欧州で導入されている信用乗車方式や、エリア別のフリー きっぷの導入を進めることが望ましく、そのためには事業者毎の運賃・料金上限認 可制(法第16条)に弾力性を持たせる規定が必要である。

C分かりやすい情報提供
○旅客施設内における視覚表示設備(サインシステム)だけでなく、地図・時刻表 ・インターネット等の「手元で事前に得る情報」を充実すべきである。東京の鉄道 は、初めての乗客が事前に情報を調べずに乗車しようとしても困難なほど、複雑化 しており、これを解決する当面の手段は、書籍として売られている地図や時刻表に 情報を掲載するしかない。また、地方圏の公共交通機関の情報は地元に行かないと 入手が困難で、住民以外の観光客やビジネス客の利用が困難な状態になっている。 鉄道・バスの路線図や乗り場案内、時刻表を書籍やインターネット等で積極的に公 開し、外来客にも利用してもらうことが必要である。
○サインシステムは、鉄道の場合、他の事業者線のサインがおろそかにされる傾向 にある。他社線についても自社線と同じようにわかりやすく案内することが必要で ある。

2.その他(事業者の退出と参入について)
○「第2種事業者の退出に伴う第1種事業者の事業基本計画の変更について、軽微 なものとして認可を不要とし、届出で足りることとする」とされており、鉄道事業 からの退出に係る規制がまた緩和されることになる。一方、鉄道事業の参入におい ては、法第5条の許可基準等をはじめとする、参入を阻む諸問題があり、退出事業 者からの継承による参入であっても、現実に継承できた事例は僅かしかない。これ が昨今の地方鉄道(ローカル線)の相次ぐ廃止の原因となっており、住民の生活の 足が奪われる実態となっている。そこで、かつての国鉄再建法(日本国有鉄道経営 再建促進特別措置法)のような法令による事業継承を支援(例:資産譲渡時に圧縮 記帳を認める等)する制度を作り、参入を希望する事業者に対しても、広く門戸を 開けるよう提案するものである。この機会に是非ご検討願いたい。

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清水孝彰
(所属:全国鉄道利用者会議関東甲信越支部)
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国土交通省鉄道局総務課 御中

鉄道事業法施行規則の一部改正についての意見
今回の一部改正に関連して、今日の鉄道整備の上で問題と思われる各点について検討し て頂きたく、地域の実情に関連して意見を述べたいと思います。

 

1 踏切拡幅工事の認可促進について
 貴省では近年、踏切拡幅・改良工事を認めず、全て立体交差にするよう指導している ように考えられるが、この行政指導により立体交差化の費用負担が困難な鉄道事業者の 廃止(和歌山県<南海和歌山港線>、新潟臨海鉄道、JR貨物などの事例あり)が目立って いる。この指導は法令に基づくものではないにもかかわらず結果として地方の鉄道を廃 業にまで追い込んでいる。これは由々しき問題であり今後このような指導を行わないよ う、強く要請する。もし、道路交通の安全面からかかる指導を継続するのであれば、モ ーダルシフトに逆行して社会全体の負荷が増大することのないよう、立体交差化に必要 な費用の大半(もしくは全額)を道路関係財源から補助する場合に限定するべきである。

2.鉄道車両でのバリアフリー化(車椅子確保)通達に伴って生じた座席減少の是正につ いて
 昨今、貴省がバリアフリー化を積極的に進めている点については敬意を示したい。但 し車椅子スペースを設置するにあたって、鉄道各社が単に座席を減らすことで対応して しまっている点については着席機会の減少を促進している形となり遺憾である。車椅子 スペースの設置にあたっては車椅子利用者が乗車した場合に座席を折りたたんで車椅子 スペースとする等の技術も既に確立されており、通達が単に座席を撤去することにつな がらないよう明記がなされ、必要があれば補助措置が採られるよう要請するものである。

3.地方線区の利用阻害の除去について
 近年、地方においてはJR・私鉄・路線バスを含めてダイヤの削減他の消極的運営に よって公共交通機関の利用可能性が大きく阻害され、ますます公共交通離れが加速する という悪循環も生じている。とりわけ、事業者の異なる駅同士の間の結節や駅における バス乗り場の設置位置が適切さを欠き、またダイヤの調整が不十分なため、列車の到着 とバスの発車が同時刻或いは前後する等、公共交通機関同士の乗り換えが図れない事例 に事欠かないのが現状である。大都市圏のみならず地方においても今回施行規則改正の 重要な柱となっているシームレス化が実質的に確保されるよう対処を強く要望するもの である。また一方、JRの地方線区においてダイヤ改正時にわずかな時間の調整によっ て列車同士の接続が解消され、或いは通勤・通学に著しい障害が発生していると認めら れるが、何らのやむを得ない理由無く鉄道の利用を阻害する措置がとられた場合、その 阻害の状況を除去するよう、貴省が事業者を適正に指導することを要請するものである。

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清水省吾
(所属:全国鉄道利用者会議北陸支部)
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国土交通省のホームページに公開された回答

「鉄道事業法施行規則の一部改正」に対するパブリックコメント募集結果について
平成14年11月5日

 国土交通省では、平成14年10月7日から平成14年10月31日までの期間において、「鉄 道事業法施行規則の一部改正」に対するパブリックコメントの募集を行いました。その 結果、3通のご意見を頂きました。頂いたご意見の概要及びそれに対する国土交通省の 考え方を別紙のとおりまとめましたので、公表いたします。
 なお、本改正に直接関係するご意見についてのみ掲載しておりますが、掲載しなかっ たご意見についても今後の施策の推進にあたって参考にさせていただきます。

「鉄道事業法施行規則の一部改正」に関して頂いたご意見とそれに対する国土交通省の考え方

(頂いた御意見)
 鉄道事業者間のみでなく、同一事業者においても乗換えの解消、対面ホームでの乗換 えの推進を図る規定を設けるべきである。
(国土交通省の考え方)
 今回の省令案においては、鉄道事業法第22条の2において乗継円滑化措置を鉄道事業 者と他の運送事業者との間の措置と定義していることに基づき、鉄道事業者が他の運送 事業者との間において講ずべき乗継円滑化措置の努力義務についてのみ定めることとし ました。そもそも利用者利便の向上は、一義的には事業者の自主性・主体性を尊重する ことが望ましいと考えておりますが、異なる事業者間の利用者利便の向上には、乗継円 滑化措置を講じる際に事業者間の費用負担の調整が難航したり、利用者の転移を防ぐ観 点から他の運送事業者との接続を拒むという問題があることから、法律を改正して努力 義務として規定し、今回これに基づく省令を定めさせていただくこととしました。

(頂いた御意見)
 乗継ぎの円滑化のためには、中間改札の新設ではなく、共通運賃化を積極的に進める ことにより、中間改札の廃止を目指すべきである。
(国土交通省の考え方)
 他の運送事業者との間の乗継ぎを現状よりも円滑にするためには、中間改札口を利便 性の高い場所に新設することが適当な場合もあると考えられることから、今回の省令案 においては、中間改札の新設も鉄道事業者が講ずべき努力義務の内容として定めること としました。また、「パスネット」や「スルッとKANSAI」等の共通乗車券の導入等によ るソフト面の乗継円滑化を推進することで、利用者利便の増進を図っていくことも今回 の省令案では努力義務となりました。なお、共通運賃化については、個々の企業コスト とは別に運賃を決めることから、経営責任が不明確となり経営効率の改善を損なうおそ れがあるほか、一般に非乗継利用者の負担が増加すること等利用者の理解を得られるか どうかの問題点があるとされています。

(頂いた御意見)
 旅客施設内における視覚表示設備(サインシステム)だけでなく、地図、時刻表、イ ンターネット等の「手元で事前に得る情報」を充実すべきである。
(国土交通省の考え方)
 今回の省令案においては、ご意見のような地図、時刻表、インターネットなどの事前に入手できる形での情報提供も含め、分かりやすい情報提供を行うことを鉄道事業者が講ずべき努力義務の内容として明記することとしました。

(頂いた御意見)
 分かりやすい情報提供の内容として、他の事業者の運行に関する情報の提供を行うこ とを含め、情報のシームレス化を行うことを明記すべきである。
(国土交通省の考え方)
 今回の省令案において、鉄道事業者は、ご意見のような他の運送事業者との旅客の乗 継ぎに関する情報を含め、分かりやすい情報提供を行うことを鉄道事業者が講ずべき努 力義務の内容として明記することとしました。

(頂いた御意見)
 乗車券の共通化、分かりやすい情報提供などについて、鉄道事業者以外の外部組織( 他の交通機関、IT関連企業、NPOボランティアなど)による積極的な参加をも促進でき る内容とすべきである。
(国土交通省の考え方)
 今回の省令案においては、鉄道事業法22条の2が鉄道事業者を対象としていることに 基づき、鉄道事業者が講ずべき努力義務についてのみ定めております。もっとも、鉄道 事業者以外の外部組織の参加については、例えば交通エコロジー・モビリティー財団が ホームページの「らくらくおでかけネット」の中で、主要鉄道駅の案内図を掲載する等 の取組みがありますが、関係者間でどのように協力関係を築いていくのかについては、 引き続き検討していきたいと考えております。


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