鉄道輸送における駅改札内のベンチの数について(中間報告)

着席率のデータ化、着席権を日本の交通に義務付けよう国民運動(仮)の展開につい て

1 はじめに

鉄道利用者にとって鉄道は指定席以外のすべての車両は座れるかどうか保障されない 乗り物という側面がある。
公共交通の復権を主張する議論はクルマから公共交通へのシフトを主張する。
環境問題や交通渋滞の緩和等の問題の解決に国や地方自治体は決まってこの論調を主 張する。
また、環境市民団体の論調もすべて環境に負荷のない鉄道がいい、と主張し ている。
しかし、実際にはクルマ中心社会であり、都心部ですら許されるものならば クルマを使いたいというのが本音であろう。
つまり交通利用者にとって「座れないか もしれない乗り物」は心理的な抵抗が大きいことを示す。
これまで着席の重要性は利用者の声にはあるものの交通論議としては不在に近いもの がある。
実際国土交通省や各鉄道事業者の運輸輸送データには一時間あたりの輸送量や通勤 ラッシュ時の混雑率といったデータは存在しても、着席できるかどうかの「着席率」 データはない。
鉄道事業者によってはこの状況を自己に都合のいいように解釈し「立たせても座らせて も運賃はおなじ」であるのをいいことに車両のいすを撤去し、車両編成を短くし利用者に立ち 席を強要する事業者もあらわせた(東北の701系運用におけるJR東、また播但線電 化の際の短編成化で、同じく首都圏並のラッシュが発生してしまったJR西等) 公共交通論に欠けていた着席についての議論を今後国民的な議論にしていくきっかけ になればと思う。
鉄道車両の評価については当会でも「鉄道車両評価システム」という提起をしたこと があるが、いまだに会内でも意見集約しきれていない。今回は「着席権」の確保のた めの第一歩として日本の交通に着席重視の姿勢がでるまで、マスコミや世論を通じ広 く社会に訴えるものである。
当会は1997年の運輸政務次官の要請の際にも運輸データに着席率を算定してほし い、と要請したがそのような動きはまったくみられない。つまり、輸送できればいった、データだけで 快適性を示すデータがないことが鉄道利用者と許認可官庁および事業者との乖離の原 因ではないだろうか。
全国鉄道利用者会議では鉄道鉄道車両の「着席定員」「立ち席定員」の明確化を要求 するとともに、鉄道利用者の便利のいい指標づくりを提案している。
今回の中間報告はこの鉄道利用において見落とされがちな駅のベンチの状況を調査し てみた。駅待合時間の着席権の確保はさらにわるい。
中間集計中でデータ等がお見せできないのは残念だが一部調査の終了した地域もあ り、それらのデータをもとに仮ではあるがその報告をしたい。

2 鉄道はなぜ使いにくいのか(座れないという立場から)

環境問題や交通渋滞対策等の対策あるいは高齢化社会対策において公共交通の復権の 議論は追い風の状態である。しかし総論部分では市民の同意は得られたとしても、各 論部分の自分はそれを実行できるか、といった段階では躊躇する人が案外多いのでは ないだろうか。実際一度クルマの便利性を味わったものを公共交通に戻すのは容易な ことではない。当会ではこの議論はされているので今日は割愛する。なぜ鉄道が使い づらいのかをしっかりと把握しない限り、公共交通の復権については机上の空論にな る恐れがある。
利用者の「座りたい・、座らせろ」の声に、例えば首都圏の鉄道事業者も利用者もあ きらめているところがある。
しかし、首都圏近郊の電車始発駅(取手、高尾、大宮ほか全部)での始発電車の席と りは、例え2列車見送ったとしても座るために待つ利用者が多いのは常識である。
座るという認識が交通機関の議論で軽視されてきたことが大きな問題ではないだろう か?
今回は着席を意識するために駅のベンチ、つまり駅の待合時間に座って(快適に)待っ ていられるかを論点に上げたい。そして「座る」意識を高め着席を社会に定着させて から鉄道車両の着席率の向上運動へつなげていきたい。

3 着席の確保は駅のベンチの増設から

実際当会会員で駅のベンチ数を調査した。
案の序JR各社は一ホームあたり(島式ホームも含む)30名分あたり(5×4)であ り、駅のつくりからいって少ないといわざるをえない。
また期待していた私鉄各社においては、関東と関西では大きな差がでた。
平均して駅のベンチが多いのは関西の私鉄である。特に首都圏では一部の駅(川越、 つつじか丘等)でしかお見受けできない外気遮断式の駅待合室は関西の私鉄は軒並み そろっている。特に各停しか止まらずに待機時間の長い駅でも快適ないすを用いた待 合室が完備されている。
また、京阪電車の複々線区間では着席できるベンチが70名以上ある駅もあった。
首都圏で70名もの人が座れる駅を見かけたことがない。 
これは、関東と関西での鉄道事情の違いはあるものの、地域独占を悪用的活用する事業 者とそうでない事業者との経営姿勢の差であると考える。

平均的な例
地区会社路線駅名待合室の有無駅のベンチ数
(定員ベース)
備考
東北地区JR東日本仙石線仙台駅16名地下島式6両編成
関東地区JR東日本東海道線保土ヶ谷駅50名島式15両編成発着
関東地区相模鉄道鶴ヶ峰駅32名相対式(片面16名)10両
中京地区JR東海東海道線熱田駅68名島式(6〜編成)
関西地区阪神電車姫島駅48名相対式(8両)
関西地区京阪電車門真駅90名相対式2面4線(6〜両)
 

4 最後に

日本の鉄道には着席という認識が事業者に乏しいといわざるを得ない。本日この帰り に東京駅にいかれる方がおられたら東京駅のベンチの数はいくらかあるかを数えて欲 しい。確かに地下には待合所はあるが座るために移動の手間が掛かるようではその設 置は半減する。実際博多駅の駅ベンチ撤去の際には行政監察局が指導し博多駅に待合 所を設置させた経緯がある。
着席については今後も研究していく。また早急に事業者や監督官庁へも働きかける予 定である。


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