「北海道アウトドア活動振興推進計画(素案)の概要」に対するご意見を募集します

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北海道庁総合企画部地域振興室地域政策課主査(調整)御中

「北海道アウトドア活動振興推進計画(素案)」への意見

全国鉄道利用者会議代表(兼北海道支部長)武田 泉

 意見:
 このたびの道庁による「北海道アウトドア活動振興推進計画(素案)」についての意 見を、全国的に利用者の立場から鉄道の改善と利用促進を目指し活動する全国鉄道利用 者会議として、ここに表明する。
 今回の素案は、一昨年の羊蹄山における遭難事故を契機として資格認定制度が創設さ れたことを受けたものと思われるが、W「アウトドア活動の振興施策の展開方法」の中 での、「自然を触れ合う場を保全する」の部分が極めて曖昧かつ不十分である点をまず 指摘したい。自然とのふれあいの場は、自然公園等であるがこれでは「利用」側面だけ で「保護」についてはただ法令順守を歌っているのみで軽視されている印象がある。こ の計画が、造園職や林学職出身の技術系職員の参画を得ていないまま策定された感がす る。またエコトランスポート(環境に優しい交通手段)の視点が希薄である。アウトド ア活動では、道庁自体が暗にマイカー(アウトドア対応車を含む)利用を前提となって いるようであり、問題である。自然とのふれあいの場では、環境教育として温暖化対策 (排出ガス削減)を是非とも目指すべきであり、マイカーによらない公共交通機関をな るべく利用する方法(フリーきっぷを設定するように事業者に要請する、路線バスを廃 止しないようにする、会員制シャトルバスを運行する等)か、マイカーを利用する場合 は相乗りを励行するなど、等を道庁として呼びかけるべきである。知床や大雪の一部で は期間限定で環境省の「利用適正化要綱」に基づいて「マイカー規制」が実施されてい るが、これについてはもっと拡充するように道庁として積極的に対応すべきである。
 また、今日国内の地球温暖化対策で温室効果に関連する排出ガス増加の多くがマイカ ーであること、交通事故が何年にもわたって減少しないことを考えれば、アウトドアレ クリエーション活動時に車社会について今一度問い直すことにどのような問題があるの であろうか。これまでの道庁地域振興部局の施策を見ても空知支庁の温泉マップや産業 遺産マップでは、マイカーを主として想定するあまり、公共交通機関の利用者を無視し ている点は嘆かわしいことではないだろうか。道内では渋滞が顕在化している札幌市内 以外ではマイカー利用を何ら規制する必要を感じていない風潮が強い。そうした点だけ で、車社会や環境問題を十分認識せずに道庁として施策を推進しようとする姿勢は、あ まりに安易と言わざるを得ない。自然地域内でもスノーモービルやオフロード車の乗り 入れで、貴重な高山植物が踏み荒らされたり、土壌の侵食を招いたりしており、自然へ の人為的影響の深刻さにもっと留意すべきである。これらについては、モラルに訴える だけでなく、条例による罰則規定も検討すべきである。
 さらには、道庁によってこれまでに地域振興部局で策定されたソフト関連諸施策(北 海道遺産、前述の空知支庁の施策等)をみると、人気投票的で理念先行で実効性に乏し く、現状の改善にいかに寄与しているかが不明確であり、施策の関連分野との整合性が 図られていないものも散見する(例えば、北海道遺産ではどのような対象、基準で選定 されたかが不明確、人気投票(多数決)かも不明、遺産に挙げられなかったが存亡の危 機に瀕している遺産について無視している(十勝三股の駅や森林鉄道車庫遺産(環境省 が破壊しようとしている)、二股ラジウム温泉ドーム(経営者交代後破壊された)等が とりあげられなかった)。道庁が地域振興施策として一体何のために実施しているのか 、自己満足のために行っているのか今一度初心にかえって再検討すべきである。今回の アウトドア活動についても、資格認定制度の立ち上げに走るあまり、そうした活動領域 においてどんな問題点・課題が存在するのかをもう一度点検した上で施策を進めていた だきたい。


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