「涅槃会」 (ねはんえ)
 
 お釈迦さんの亡くなられた二月十五日、偉大な覚者を追慕して行われる仏事です。
「涅槃忌」とも「仏忌」とも言い、「常楽会(じょうらくえ)」と呼ぶところもあります。またこの法会は、遺教経(ゆいきょうぎょう)を訓読する習慣のあるところから「遺教経会」「訓読会」ともいいます。

 お釈迦様が亡くなられた日については、諸説あるが『大般涅槃経』などの説に従い、西暦紀元前四百八十六年の二月十五日とされています。釈尊は八十歳でした。
涅槃とは、一切の煩悩を解脱し、生死の苦をのがれた悟りの境地をいいます。
釈尊は臨終のまぎわ「頭北面西」に横たえられ、最期を迎えました。その故事にちなみわが国では、死者を北枕に寝かせる風習が残っています。

 涅槃会の行事は、遠くインドで行われ、中国に渡り、わが国では奈良時代、興福寺で営まれた「常楽会」が初めだといわれている。
 涅槃会の儀式は大きな涅槃図を掲げるのが特徴です。
一般のお寺では、本尊の前で読経し、あるいは偉大な覚者を偲んでお説教が行われたりします。
なお民間では古くからこの日に煎り豆やあられをこしらえて、お寺に供えるという風習が伝えられ、関西では「お釈迦さんの鼻くそ」といっているところもあります。