「針供養」 
 
 もともと、農耕儀礼の「事始め」でした。
二月八日に、一年中の農事をはじめ、十二月八日に終わる「事納め」まで、農事年間が続くわけです。
この事始め事納めにいつか「針供養」が行われる習慣が根づいていました。
普段、針の仕事をしている人や家庭の主婦が、この日に、折れた針を仏前や神前に供えて供養するというしきたりです。
「供養」という語からして、仏教的色彩が濃厚ですが、普段なにげなく使っている一本の針にも感謝を捧げようという心のあらわれです。
針供養を行っているお寺では決められた儀式の形はなく、折れた針をコンニャクや豆腐に刺し、仏前に供えて読経をしてもらいます。
関東地方から東が二月八日、関西や九州では、十二月八日の事納めの日に行っているようです。